あなたと生きる世界 -尸魂界編- (ページ33)

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尸魂界編　9-1 裏切りの徒ページ33

「な・・、なんだこいつは・・っ？」
どういうことだ！？

十三もの扉に守られ固く鎖されたその入口を目指して、
力尽くでこじ開け進み続けたその先の先

眼下に広がる情景に日番谷を含む三人の目が大きく見開かれた

「中央四十六室が・・」
『・・、！』
「全・・滅・・っ、」

議事堂の中央をぐるりと取り囲む四十六室の裁判官達は、
一人たりともその場から動くことなく死んでいた

長く続く階段を日番谷に続いて駆け下りる

『酷い・・、』

その惨状に辺りを見渡すAの瞳がぐっと歪んだ

「・・血が乾いてる、黒く変色してひび割れるくらいに」
殺されたのは昨日今日の話じゃねえってことか・・

血に触れた日番谷が顔を歪めた。

ーーどういうこと、？

戦時特令が出て以降、事実上封鎖されていた中央地下議事堂は誰一人として近付けなかったはず。

わたしたちがここへ来るまで
四十六室を守る防壁も全て閉じたまま、誰かが侵入した形跡も無かった。

いつ？
いつ殺された？

封鎖よりも前に誰かが侵入し四十六室を殺したっていう事？

本当に戦時特例よりも前だったなら、
それ以降にあった処刑の期日変更とあの最終決定はーー

『全部、ニセモノだったってこと・・？』
「チッ・・！」

Aの瞳が困惑に揺れる。
同じ思惑に辿り着いた様子の日番谷が大きく舌打ちをした

その刹那、聞き覚えのある声が議事堂に響く

「ーーいらっしゃると思っていました、日番谷隊長。」
そして、A副隊長・・。

それは、聞き覚えのあり過ぎる、だけど此処で聞くはずのない声

『え・・？』

駆け下りた階段のその上に位置するただ一つの出入り口。
そこに現れた人物に思わず声が震える。

『イヅル・・くん・・？』
「吉良・・！」

それは他の誰でもない自身の副官補佐、
三番隊第三席・吉良イヅルだった

「まさかてめぇがこれをやったのか・・？」

大きな瞳を見開き、彼を見上げるAの横から一歩踏み出し、問う日番谷にイヅルは何も答えない

チラリと目線をAに滑らせると、途端に絡み合う二人の視線。

Aの喉がごくり、と嫌な音を立てる。

イヅルは何も言わぬまま目を逸らすと、走り出した。

『待って！イヅル君！！』

叫ぶAがその背を追って階段を駆け上がる

「追うぞ松本！！！」
「はい！」

走る二人を追って、日番谷達もまた議事堂から飛び出した