あなたと生きる世界 -尸魂界編- (ページ31)

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尸魂界編　7-2 ページ31

ーーやっぱりおにぃの霊圧だ、

微かに残る右手の霊圧にスッと意識を尖らせる。
慣れ親しんだその残り香を、わたしが間違えるはずがない

でもあの卯ノ花隊長が、彼がここへ来たことに気付かないだろうか？

それにあの時、わたしの感覚がおかしくなければ彼は怪我をしていたはず

なぜ？
誰と戦ったの？

どうして彼の手は冷たかった？

自身の右手に額を当てて、深く目を閉じる

ーーわからない。

旅禍の侵入・藍染隊長の殺害・ギンの怪我

一体瀞霊廷に何が起こっているの・・？

全て違う出来事の様な気がするのに、
上手く腑に落ちないこの気持ち悪さは何？

考えろ、考えろ、

考えることを止めるな。

ーーー・・ヒラリ、

思考を巡らせていたAの元に、一匹の地獄蝶が飛び込んできた

その僅かな霊子に瞳を閉じていたAが慌てて顔を上げる

『・・！』

ーー隊長並びに副隊長各位にご報告申し上げます。

朽木ルキアの処刑の日程について最終変更がありました。

最終的な刑の執行は・・、現在より29時間後です。ーー

『ッ！？！？』

地獄蝶から伝達される言葉に、Aの瞳が大きく見開かれた

どういうこと！？
先日届いた伝令では刑の執行まで一週間は先のはず、

『・・ルキアちゃんッ、』

頭に過るのはあの日、
いってきます、と照れた様に笑った少女

ーー元々今回の判決はおかしかった。

死神の力の譲渡は確かに罰せられる

だけど今までわたしがいた百年間、
それで極刑になった者など誰1人としていない

ましてや四大貴族・朽木家とはいえ隊長格以外への双極の使用

３５日から２５日への猶予期間の短縮

そしてこの最終決定・・。

何かがおかしい。

いつからおかしい？

『・・・、』

・・・違う。" 最初から " おかしいんだ。

『・・ッ、四十六室か・・っ！』

濃い紫色の瞳が、酷く歪んだ

全てを取り仕切っていた四十六室。

最初からおかしかったのなら、全ての答えはそこにある。

四十六室のある真央地下議事堂は、現在一切の立ち入りを禁じられている。

だけど、このおかしな判決を、確かな違和感を、
そのままにしておく訳にはいかない

『ここで寝てる場合じゃない。』

起き上がり、すぐ側に立てかけられていた斬魄刀を力強く握りしめた

『ーー行こう、編照【アマテラス】。』

その言葉に反応するかの様に、僅かに刀が光った気がした

救護室の窓へ足を掛けて、未だ明けない暗い空へと飛んだ