あなたと生きる世界 -尸魂界編- (ページ28)

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尸魂界編　6-2 ページ28

「どうしたの、元気ないわね。」

定例集会の場に護廷十三隊の副隊長達が集う

昨日ぶりにAと会った乱菊は浮かない顔をしている彼女に声をかけた

『うん、なんか懐かしい夢を見たの。』
「・・！・・大丈夫なの？」
『・・平気。もう百年も前の事だもん。』
気にしてられないよ。

そう言って困ったように笑うAに乱菊は溜息を吐く

「馬鹿ね。大丈夫って顔してないわよ。」

呆れた様に見つめる彼女にふふふ、と笑ったAは
そうだ、と思い出したように口を開いた

『昨日ね、』
おにぃに会えたの。

そう続けようとした言葉は、つんざく様に聞こえてきた悲鳴にかき消された

ーーーいやぁああぁぁぁあああぁぁあ！！！！！！

突如として響き渡る悲鳴に大きく目を見開いた

『っ！？』
「なんだ！？」
「東大聖壁の方じゃあ！！」

その声に副隊長達が一斉に部屋を飛び出していく

『今の声、雛森ちゃん！？』
「行くわよ、A！」

揺れる乱菊の亜麻色を追って、駆け出した

「オイ！何が、」

前を走る檜佐木が角を曲がる

ーーー！！！！！！！！！

「なっ！？！？」
『ッ！！』

目の前に広がる光景に、居合わせた全員の霊圧が揺れた

「・・あ・・、あ・・、ぁぁ・・」

虚な目で雛森が見上げた先

「藍染隊長・・！！！」

東大聖壁に広がるのはおびただしい量の血。
その一番高いところに、彼はいた。

胸に自身の斬魄刀を突き刺して。

ーーーあの日、

あの日、わたしの元へ来たあの人の顔をわたしは今も思い出せない

「平子隊長は、虚として処分されたんだ。」

黒く塗り潰されたその顔を、わたしは思い出せない

今朝見た夢と、線が繋がる

何の夢だったか思い出せないんじゃない。
思い出そうとしないだけだ

だってわたしは知っていた。

あの日、あの日、

「平子隊長は、虚として処分されたんだ。」

そう言って笑っていたあの人の顔を、わたしは知っていた

『・・ぅあっ、』

後ろから聞こえた呻き声に乱菊は勢いよく振り向いた

Aが胸を押さえて膝から崩れ落ちている

「A！？」

慌てて駆け寄りその肩を抱く

『・・はっ、・・っ、は、・はっ・・』
「A！しっかりして！A！！」

次第に苦しくなっていく呼吸と共に、
側で聞こえるはずの乱菊の声が遠くなっていく

「あぁ、こらあかん。」

あなたの声が、聞こえた気がした