あなたと生きる世界 -尸魂界編- (ページ23)

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尸魂界編　4-2 ページ23

「十一番隊第三席・班目一角様、同隊第五席・綾瀬川弓親様、」
以上二名の上位席官が重傷のため戦線を離脱なさいました・・！

『一角さんと弓親さんが！？』

目を見開くAに四番隊から報告にやってきた伊江村三席が苦い表情をした

「十一番隊につきましては、ほぼ壊滅状態であるとの報告が入っています・・！」
「そんな・・」
「・・侵入から数時間でそこまで被害が出るか、」

一体、なにが起きているの。

「そんじゃ、ウチも隊長に報告しに行ってこようかのォ！」

壁に背中を預けるようにして立っていた七番隊・射場鉄左右衛門が扉へ向けて歩き出す

「俺も、東仙隊長の元に向かいます。」
「今は副官として隊長の側におっとくべきじゃろぉけんのぅ。」

そう言って出て行く二人に続き、部屋から出ようとしたAの腕を乱菊が掴んだ

「ねえ、A。」
「・・おねぇ。」

苦しそうに表情を歪めたAに、乱菊は顔をしかめた

「ギンはどうしたの。」
『わからないの・・。家には帰ってきてるんだけど、わざとすれ違うようにしてるみたいで会えてなくて。』
今日はまだ隊主室にも来てなくて。

呟く彼女は細い腕で自分の腕をギュッと抱く

しっかりしなきゃと思ってここに来たのに、やっぱりだめだ
おねぇの顔を見ると不安が止まらなくなる
甘えてしまいたくなる
自分の弱さを、痛感してしまう

『おねぇ、わたし・・嫌な予感がするの、』

またおにぃが、何処かに行ってしまう気がするの・・！

絞り出すかのように震える声で紡ぐAを、乱菊はそっと抱きしめた

あやすようにしてその背中をトントンと叩く

「大丈夫よ。アイツのことだもの、またふらっと帰ってくるわよ。」
『でも・・！』
「それより、今は旅禍よ。こんな大きな事件になってしまってる。」

三番隊を引っ張るのは誰？

「ギンはアンタを信頼して副隊長に任命してるんだから。」
今は信じて、あたし達はあたし達の出来ることをするわよ

ーーそうでしょ？市丸副隊長。

そこまで言うと、彼女はニッと口角を上げた

乱菊の様子に、不安げな表情を浮かべていたAが瞳を一瞬見開く。

『・・うん、』

そうだ。
わたし達がおにぃを信じなくて、誰が信じるというのだ。

ありがと。わたし、隊舎に戻る。そう言うとAは部屋から飛び出していった

そこには一人、乱菊だけが残る
再び暗い表情した乱菊だけが残る

「ギン、アンタ一体・・」

ーーあの子を、どうしたいの。