あなたと生きる世界 -尸魂界編- (ページ21)

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番外編【世界の形が変わった日】2 ページ21

急に外が暗くなり不思議に思って乱菊へ声を掛けようとしたその時、首元に衝撃を感じて視界が途絶えた

次、目を覚ました時には辺りは暗くなっていて
そこにさっきまであったはずの家は焼け焦げ、木の燃える臭いが鼻についた

少し離れたところに、ギンと乱菊の姿が見える

ーー死神になって変えたる

「二人が泣かんでも済むようにしたる。」

背を向け手を強く握りしめているおにぃ。

何もわからないまま、わたしは彼を見つめていた

家を移して少しした頃、変わらず木の実を探し歩いていた

随分と冬も深まり空を見上げれば冷たい雪が舞っている

今日はあんまり取れなかったと落ち込みながら家へ戻って、その日は乱菊の家事の手伝いをしていた

こんな日はなんだか、嫌な予感がする。
少し前のあの日を思い出しながら、まだ帰らぬギンのことを思った

「先に食べちゃいなさい。」

そう言う乱菊に、おねぇが待つならわたしも待つと言って膝を抱えた

夕飯の時間はとうに過ぎているというのに、おにぃはまだ戻らない

ああ、嫌な予感は当たってしまうのか。

夜も更けて、月が一番高いところに昇る。
膝を抱えていたAはそのまま眠りに落ちていた

乱菊が揺れる小さな肩にそっと羽織をかける

ギンはまだ、帰ってこない。

すっかり冷めた夕飯を前に、乱菊もまた膝を抱えた

ふわっとした感覚にぼんやりと意識が浮かぶ

薄く目を開けばいつの間にか布団の中に入っていた

『あれ、』

まだ醒めない頭でおもむろに彼を探した。
ギンの気配がうっすらと自分の体に残っている。

この感覚の正体をわたしはまだ知らない。

辺りを見渡せばおねぇは何故か、冷たい床に膝をつき項垂れていた

『おねぇ・・？』
「ーーっ、A、」

振り向いたその美しい青色の瞳には、大粒の涙と悲しみが滲んでいた

ああ、やっぱり嫌な予感は当たってしまった。

こんなに寒い日なのに、おねぇは開け放たれたままの玄関を閉めることもせずただただ震えていた

『・・寒いから、おねぇも一緒に寝よう？』

布団から出て、裸足のまま玄関の扉に手をかけた
ガタガタと古い音がして、隣を隙間風が抜けていく

『おにぃは大丈夫だよ。』

またふらりと帰ってくるよ。
だってわたし達はおにぃの事、こんなにも知っているんだもの。

呟き、凍えたままのおねぇを抱きしめた。

それ以降、彼が帰ってくる事は無かった

(その日、わたしたちの世界はまた一つ形を変えた)