あなたと生きる世界 -尸魂界編- (ページ19)

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尸魂界編　3-2 ページ19

「ーー今回の行動についての弁明を貰おうか。三番隊隊長・市丸ギン！」

ここは、何処よりも大きく、重厚な扉を開いた先にある一番隊舎。
そこに並ぶは護廷十三隊を取り仕切る隊長格

ギンが旅禍を取り逃がした失態についての隊主会が緊急で開かれていた

更木剣八・涅マユリ等が口々にギンへ野次を飛ばすも彼は依然として読めない笑みを口元に貼り付けている

その様子に総隊長・山本元柳斎は鋭く光る眼光を覗かせた

「何ぞ弁明でもあるかの、市丸や。」

重い視線を受け止めた彼は、なおも笑みを崩さない

「ありません！」
ボクの凡ミス。言い訳のしようもないですわ。

そう言って頭を押さえるギンに藍染が口を開いた、次の瞬間

ーーガンガンガンガン！！！

突如、瀞霊廷に警鐘が鳴り響く。

【緊急警報！瀞霊廷内に侵入者有リ！各隊守護配置について下さい！】

緊急事態に散らばっていく隊長格の中、
藍染とギンの異様な雰囲気を感じ取った日番谷が
その読めない笑みを見つめていた

一番隊舎を出て急ぎ霊圧を探る

ーー・・おった、

感じた霊圧はこのすぐ側、副隊長の控室だ

『・・っ、はっ・・はっ、』
「ちょ、A！？」

警鐘が鳴り響いた刹那、Aの顔色が変わった

現在隊主会が執り行われている為、副隊長は別室で待機をしていたが
突如霊圧の乱れた彼女は膝から崩れ落ち、荒い呼吸を繰り返している

その様子に騒然とする他の副隊長を置いて、
泣き崩れるAに乱菊が慌てて駆け寄った

「A！？」
『はっ・・っ、・・はっ、』

警鐘が頭に重く響く
いつまでも消えずに今も耳元で鳴り続ける
百年前のあの日から、今も耳元で鳴り続ける

貴方の声が、聞こえた気がした。

「ーーA！」

バンッ！と扉を破るような音に乱菊が頭を上げた

「市丸隊長！」

突如現れたギンに、残っていた副隊長達が目を見開く

『はっ・・、はっ、っ・・』

崩れるようにして床に座り込んだまま、
虚な目で自らの死覇装を握りしめている彼女の様子にギンが僅かに顔を歪めた

その隣で乱菊が困惑した表情を浮かべたまま、彼の横顔を見つめている

「A、大丈夫や。」
『っ・・ひら、・・た・ちょ・・』

呼吸も整わないまま、苦しそうに呟く

「・・少し寝とき。」
『っ、』

手に鬼道を薄く纏わせAの顔の前にかざせば
糸が切れたように身体は倒れ、力なくギンへと寄りかかる

その身体を抱き抱えると、何も言わないまま二人の姿が風へと消えた