尸魂界編 3-1 開幕のベルが鳴る ページ18
『・・あれは、』
見上げる先の空。
引き裂く音と共に降りて来る瀞霊壁にAが目を細める
先程技術開発局の報告により、流魂街へ旅禍が侵入したとの情報が入り
護廷十三隊の各隊が四つの門をそれぞれ警備していた
彼女達が守護するは西門【白道門】
九番隊と共にこの地区の警備にあたっており、門の周辺をギンとAが、
その周辺地域を上位席官を率いたイヅルが守備に着いている
本来霊王宮を守っているはずのソレは大きな音を立てて地面へと落ち、その衝撃で辺り一面が砂埃に覆われた
その様子を困惑した面持ちで眺めるAの横でギンが不敵に笑う
「あちらさんも、やる気みたいやね。」
『おにぃ、』
心配そうに自身を見上げるAの頭をそっと撫でた
その瞬間ーー、
ガンガンガンガン!!!!!
『・・っ、』
突如辺りに響き渡るのは警鐘だった
震える脚、見開かれるのは濃い紫色の瞳。
突如顔色の変わったAが、震える身体をその細い腕で抱きしめた
「A。」
耳元で呟いたギンの長い腕がAを包む
浅い呼吸で震える彼女の背中をあやす様に叩くと、もう片方の手で頭を抱え込むようにして抱きしめた
「大丈夫や。」
彼の隊主羽織を握りしめ、懸命に呼吸を整えようとしているAに穏やかに笑いかけると、その後ろ頭へそっと手を通した
少し屈んでそのまま引き寄せる
こつん、と額同士を付ける様にして涙ぐむ瞳に視線を合わせた
「な、A。」
『・・っ、ん・・、』
先程より幾分か落ち着いた呼吸に安心する
「ええ子や。」
そう言って再びAを腕の中に閉じ込めた
Aの呼吸が元に戻るが早いか、
三百年護り抜かれた白道門のその重い扉が兕丹坊の手によって開かれる
『っ、!』
未だ少し苦しそうなAを背に庇うようにして、ギンが門へと向き直った
「あァ、こらあかん。」
「負けた門番は門なんか開けへんよ。」
門番が負けるゆうのは、" 死ぬ " ゆう意味やぞ。
穏やかな口調で話すギンはスッと後ろを向きAの方へと一歩ずつ歩みを進める
「なんだよ、そんな離れたところからその脇差でも投げるのか?」
「脇差やない。これがボクの斬魄刀や。」
言葉と共に引かれた右足
死覇装の袂が風に揺れた
ーー射殺せ、神槍
刹那、オレンジ頭の死神と兕丹坊が宙へと舞い、彼が支えていた白道門も勢いよく落ちる
くるりとギンが振り返り、バイバーイ♡と手を振っているその奥で、長い銀髪が揺れていた
285人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おもち | 作成日時:2020年8月3日 17時