番外編 【桜の香り】1 ページ15
『わぁ〜！』
すっごい綺麗！
そう言って満開の桜の木の下を今よりもいくつか幼いAが走る
「オイA！急に走るなや、転ぶど！」
『平子隊長〜！はやくはやく〜！』
振り返って手を振るAの後を、両手いっぱいに荷物を持った平子が今日も気だるそうに歩いていた
「おっそいぞーー！」
「おお、真子とAも来たか〜。」
一際大きな桜の木の下に
ブルーシートが一面敷かれている
ひよ里と羅武は少し離れたところから向かってくる二人に気付くと手を振った
「なんや、みんな揃ってるやんけ。」
『はやく！はやく！』
「待て待て待て待て、そない引っ張らんと歩いてるやろ！」
初めてのお花見にAはとにかくご機嫌で、
平子の隊主羽織の袖を掴むと嬉しそうに引っ張って歩いた
『羅武隊長、こんにちは〜！』
「おーA、今日も元気そうだな。」
「遅いどハゲシンジ！飯が冷めてまうやろが！！」
「ガフッ！！！」
ひよりの飛び蹴りは素晴らしい角度で平子の顎へとヒットして
手に持っていた荷物はブルーシートに残したまま彼は遠くへ飛んで行った
「A、お皿回すん手伝ってくれる？」
『はーい！』
「リサ！ウチも手伝うで！」
「ほんならみんな集めたってやぁ。始めんでー。」
飛んで行った彼を誰も気遣う事なく、リサから紙皿を受け取ったAは人数分をシートへと並べていく
すでに辺りには大きなお皿に乗った料理がたくさん並んでいて、それはそれは美味しそうな匂いが漂っていた
「お前ら集まらんかい！みんな揃ってんでぇ！」
「うっさいのぉ、お前に言われんでも集まっとるわボケェ。」
いつの間にか戻ってきた平子は小指を鼻の穴へ突っ込んだままひよ里へと話しかける
「なんやとハゲ！お前には言うてないわ！」
「お前ら言うとったやん！ンなもん俺も入っとるやろが！」
「ハゲが入るわけないやろハゲ！」
「あっ！Aちんじゃん♡やっほー！」
『白さん、六車隊長こんにちは！』
「おう。元気そうだな。」
はい！
そう言って笑顔で見上げるAの頭をポンと撫でると
拳西は適当な場所へと腰を下ろした
「あたし拳西のとーなりっ！」
「うるせぇ、お前は向こう行ってろ！」
「なんでよー！ケチーー！！」
「A、こっちの分のお皿もらうよ。」
『ローズさん！ありがとうございます！』
一通り準備が終わると丈の短い死覇装の腰に手を当ててリサが立ち上がる
「真子！ひより！いつまでやってんねん、始めんで！」
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作者名：おもち | 作成日時：2020年8月3日 17時
