あなたと生きる世界 -尸魂界編- (ページ13)

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尸魂界編　2-1 春の香りページ13

太陽も高く登りきった午後。

お昼時間を逃してしまった隊士達がちらほらと座る食堂にギンとAはいた

目立つ隊主羽織に色素の薄い肌、揺れる銀色の髪は
この食堂内でも異彩を放っており、二人が入ってきた途端に周囲がざわついていた

「見て！市丸隊長と市丸副隊長よ！！」
「ほんと！今日もとっても素敵～！」
「私、次の異動は三番隊にしようと思ってて・・！」
「えぇ！ずるい！！私も異動希望だそうかな。」

「おい、見ろ！市丸副隊長だ！！」
「くぅぅうううう！今日も一段と可愛いなオイ。」
「って、市丸隊長も一緒じゃねえか・・」
「あの人いると全然話しかけられねえんだよな。」
「わかる。話しかけんなオーラがすげえよな。」

「・・・。」
『ん？おにぃ、変な顔してどうしたの？』

二人並んでお昼ごはんを買い、適当な席へと向かい合わせに座って見つめる視線の先。

お昼ご飯に選んだサバの味噌煮をつつきながらギンへと目線を向ければ、彼は随分と不機嫌そうな顔をしていた

他の人から見れば、いつも読めない笑みを浮かべているギンの表情の違いなど
きっとわかりにくいものだろうが、Aはそんな彼の顔色の変化には目敏い

「いや、何もあらへんよ。」
『そう？』
変なおにぃ。

彼がそう言うのなら、とお味噌汁のアサリを摘むAを見て
ギンはゆっくりと後ろを振り返り、背後から聞こえた声の主達に睨みを効かせる

そこにいた十一番隊の隊士達を狙って霊圧を飛ばせば
ヒィィイイイイッッッ！と声を上げて、彼等は一目散に散らばっていった

なんか騒がしいなぁ、と思いながらも箸を止めないAはもくもくとご飯を食べ続けており、
早々に昼食を食べ終わったギンはそんな彼女をのんびりと眺めている

「あ、あのっ！」

そんな二人へと歩み寄って来たのは、随分と緊張した面持ちの名前も知らない男女の隊士だった

「・・？」
『どうかしました？』

不思議そうな顔をして見上げる市丸兄妹の二人を前に、
話しかけた隊士は何か言いたげに口を開けては閉じて・・を何度か繰り返し、その様子にAが笑った

『ふふふ、金魚みたい！』
「す、すみません！」

緊張してしまって、と額に流れた汗を拭った隊士にAはもう一度笑って、
ゆっくりで大丈夫ですよ！と肩を軽くさすってあげている

「ぁ、あ、ありがとうございます！！」

土下座でもしそうな勢いで頭を下げる隊士に
ギンとAは目を見合わせると、大袈裟だなぁ～とまた笑った