あなたと生きる世界 -尸魂界編- (ページ12)

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尸魂界編　1-5 ページ12

ルキアの義兄、六番隊隊長・朽木白哉。
この二人の確執はAも知っていた。

ギンと白哉は特別仲が良いと言うわけではなかったものの、
隊主会の際には会話をしたり、
それぞれの地区へと訪れた際は挨拶に行ったりするなど
程よい距離感での交流があった。

その付き合いがなんだかんだ百年以上になることや、
歳が近いということもあったのだろう。

常にギンの側に控えていたAも同じ様に白哉との交流があり、その延長でルキアとも出逢う事となった。

なにより、ルキアと親しくしてやってほしいと
わざわざ言ってきたのは他でもない白哉であった。

当時はルキアを朽木家へと迎えたばかりで
周囲と馴染めていなかった彼女を気遣って、歳の近いAへと彼はお願いしたのだった。

とはいえ不器用な彼は未だに彼女との距離を測りかねていて、そんな彼を気遣う余りにルキア自身も身を引いてしまっているのだが。

そんな不器用な兄がルキアを危険な目に遭わせないように
隊長格へ根回ししていることを彼女はまだ知らない。

そしてルキアがそんな彼のことを大切に思っていることを、彼もまた知らない。

お互い想い合っているというのに。
いじらしい２人は本当の兄妹以上にずっと兄妹だと思った。

『お互い変わった兄がいて大変だよね～。』

ため息混じりに呟くAにルキアも困ったように笑う

『いってきますって言ったらいいんじゃないかな？』
「・・？」
『そしたら帰ってくるのも楽しみになるでしょ？』

いってきます、も
いってらっしゃい、も
ただいま、も
おかえり、も

『誰かがいないと、言えないから。』
「・・Aさん、」

そう呟いて視線を滑らせたAの横顔が酷く切なくて、
その瞳が誰かを探している様に見えて、

「Aさんも、誰かを待っているのですか・・？」

思わずそう聞いてしまった

『ふふふ、』

彼女はいつもと変わらない笑顔で笑うだけで、答えてはくれなかった

『じゃあルキアちゃん、また1ヶ月後にね！』
「はい！今日はありがとうございました！」

慌てて頭を下げるルキアに、かったいなぁ、と困った様に笑う

『駐在任務、がんばってね。』

自分よりも低い位置にある小さな肩にトン、と触れて三番地区へ帰るために足を踏み出した

ゆっくりと離れて行く銀色の背が、途中思い出した様に振り返る

『いってらっしゃい、ルキアちゃん！』
「い、いってきます！」

少し顔を赤くして、ルキアが手を振った