あなたと生きる世界 -尸魂界編- (ページ2)

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番外編【世界に色が着いた日】1 ページ2

それは、わたしの生きる世界に色が着いた日だった。

東流魂街六十二地区花枯(かがらし)。
流魂街の中でも随分と治安の悪いその場所でわたしは生きていた。

周りの人は盗人か病人。
食べ物も少なく、満足な生活を送れない人たちが村の彼方此方に転がっている。

何故わたしがこんなところにいるのかも、わたしは知らない。

気がついたころにはここにいて、ごみ溜めのような場所でただ生きていた。

何をするでもなく、ただ生きていた。

この世界には虚と呼ばれるバケモノがいて、そいつはふらりと現れては人を襲って食べるらしい。

その虚と呼ばれるバケモノは、お腹が空く人を狙ってやってくるらしい。

物心ついた時から空腹なわたしは村人に蔑まれ、近寄ることは許されなかった。

気持ちが悪いと、いつも突き放された。

満足に食べるものもなく、獲物を捕まえることも知らないわたしは森の奥の砂利道で倒れていた。

どうしてここに居るのだろう。
わたしは何処から来たのだろう。
何処へ向かえばいいのだろう。
何処へ向かえば・・。

ぼんやりと浮かんでは消えていく問の答えなんて、幼いわたしは持ち合わせていなかった。

仰ぐ視線の先。
遠くに浮かぶ雲は随分と分厚くて、今にも雪が降り出しそうな、そんな空。

そんな冬の日に、わたしたちは出会った。