十五時間目 ページ18
廊下を進むと、松野が暗闇の中で立ち竦んでいるのが見えた。
「松野、単独行動は…」
「………………あ、………あ…………」
「……どう、したの?」
声にならない声を発する彼の肩越しに、異様な物が見えた。
人だ。
机や椅子が散らばる中に、仰向けに倒れている人がいる。
……否、倒れているんじゃない。
彼の喉に、椅子の足が貫通している。
何処かに必死にしがみついたのか、指は血だらけで小さな木の破片が沢山刺さっている。
その顔や格好は、一本だけのアホ毛と黄色いパーカーを着ていることを除けば、松野と全く同じ。
「…………十…四、松……君………?」
「あああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」
僕が呟いた途端、絶叫を上げたかと思うと、松野はその場から走り去ってしまう。
「……」
僕は追いかけることも忘れて、呆然と目の前の遺体を見つめる。
カランッ
と、小さな音を立てて、目の前に何かが落ちてきた。
しゃがみこんで拾う。
それは、刃の部分に黒髪が巻き付いたハサミだった。
「……!松野、追いかけなきゃ…」
僕は制服のポケットにそれをしまいこんで、彼が走っていった方へ歩き出した。
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作者名:RAN丸 | 作成日時:2017年3月21日 13時