中学三角関係<2>【カゲプロ・シンタロー】 (ページ18)

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三角関係56 ページ18

遥side

不思議な子だった。

僕と貴音が二人でいられる間を…

楽しめと、Aちゃんは言った。

遥「あ、ははっ…」

分からなくて、分からなくて

笑いがこぼれた。

…考えなくてもいい。

ただ、貴音に伝える。

好きだから。

きっと何があっても好きだから。

貴音のこと。

ずっとずっと好きだから。

早く、言おう。

僕は教室の扉を勢いよく開け、走った。

先生の声が聞こえた気がしたが、そんな声は遠くに聞こえた。

…貴音

僕がついたのは……

枯れた桜の木の下

貴音がそこに立っていた。

ヘッドフォンをつけ、桜の木を見上げていた。

貴音……？

もしかして、泣いている…？

貴音「…本当に私って馬鹿だなぁ……」

そう言って、大粒の涙を流した。

涙を拭うことなく、ずっと木を見上げていた。

そして、貴音はつぶやいた。

貴音「遥のこと…好きだったのに…っ」

これからの未来…

僕が素直になれないこの子のことをどれだけ愛すだろう。

僕が馬鹿なこの子をどれだけ大切にできるだろう。

僕がこの子と過ごせる時間は後、どれだけだろう。

そんなの、分からない。

いつかくる、終わりの日にならなければ分からない。

……ただ、終わりの日に笑えるように…

僕は貴音のもとへと走った。

遥「貴音、大丈夫だよ」

貴音はこちらを振り返った。

遥「この桜もまた春に咲く日が来るよ」

涙を流したまま

遥「冬が来てもまた春には咲くよ」

貴音は

遥「きっと長い間、咲くよ」

微笑んだ。

遥「この桜が咲かなくなっても

別のどこかではきっと、いつまでも

桜が咲いてるよ」

貴音は泣きながらそうだね、と言った。

貴音も僕も

終わりの日に笑えるように

手を取り合った。