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最初の恋ではないけれど、彼を見た瞬間に最後の恋になると思った。
私はこの人と生きて、この人と死んでいくのだと胸のどこか深い場所で決めていたのかもしれない。
運命など存在しない。
私の人生は、誰かに操られている物ではない。
自分自身が望み、動き、結末に至るだけなのだから。
「ほら、A、置いてくよ？」
右手を差し出して微笑み彼の右手を取って、彼の横に並び歩き出す。
新しい季節の訪れを、暖かく優しい風が伝えてくれる。そんな風に包まれながら、彼と過ごしていくこれからを思い描いて、瞳を閉じた。
「温泉楽しみ、ご飯何かしら、あと部屋はどんな感じなのかしら……！」
「初めて、だね。Aと二人きりで旅行。」
彼は怪しく微笑みながら私の事を見つめる。
そうね、と呟けば彼は春から社会人の仲間入りをする男性とは思えないほど、少年のあどけなさが残る笑顔を浮かべた。
「周助、お饅頭食べたい！」
「ん、そうだね、せっかく箱根まで来たことだし食べようか。」
一歩歩き出せば、彼も同じように一歩歩き出す。
世界中の誰よりも愛しい人と同じ歩幅で歩けることの幸福を噛み締め、彼の腕に自らの腕を絡めた。
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辺りが夕焼け色に染まっていき、いつの間にか蒼い世界が広がっていた。
「そろそろ宿に戻る？」
より一層寒さが増した蒼い世界では、彼の温もりを感じる口実を作る事が簡単に出来た。
寒い、と小さく呟いて彼の指と自らの指を絡めると彼は微笑みながらポケットの中に導いた。
「どう？暖かい？」
「そこそこ。」
長い影がまたゆらゆらと長くなり、私達は早足で宿へと向かった。
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ゆーり - めちゃくちゃ感動しました！あえて主人公に手を出さないところとかがめちゃくちゃ不二っぽくて！ほんとに感動でした！ (2021年3月14日 16時) (
レス) id: 8ac4695b82 (このIDを非表示/違反報告)
桜田 しおり(プロフ) - 鮎太郎さんさん» そう言って頂けて嬉しい限りです。これからもこの作品をよろしくお願いします！ (2018年9月29日 20時) (レス) id: ef32a79d1d (このIDを非表示/違反報告)
鮎太郎さん - ヤバイです！不二先輩かっこよすぎます！ (2018年9月27日 22時) (レス) id: 41a4e5daec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜田 しおり | 作成日時：2018年9月14日 7時
