二体様2 ページ31
side:谷崎
「此処が、主人が失踪した屋敷…か」
探偵社に舞い込んできた依頼は、ある屋敷の失踪した主人を探して欲しいというものだった。
殺人事件じゃないからつまらないと、乱歩さんは動かず、情報収集なら僕が適任だと依頼を受けることになり…
「うふふ、久しぶりの兄様と二人っきりの…お・し・ご・と」
「うわぁ!?な、ナオミ、耳はやめて!」
「あらぁ?そんな事言って…昨日はあんなに…」
当然、妹のナオミも着いてきた。
嬉しいが、仕事は危険もあるし、自分の身もある意味アブナイ…。
「近所の人達の話によりますと、このお屋敷の主人は人形作りが趣味だったそうですわ。なんでも、二体様というものを作るのに狂ったように夢中だったとか」
「二体様…」
何だろう。
人形の種類だろうか。
携帯で検索してみるも、ヒットしない。
「失踪する前日、それが完成したと近所中に触れ回っていたそうですわ。そしたら…」
翌日、煙の様に姿を消したー。
「とりあえず、屋敷の中を調べよう。ナオミは外で待って…」
「嫌!ナオミも兄様と一緒に行きます!ここの主人について調べたのはナオミでしてよ!?」
「で、でも危ない…」
「兄様がいるから平気ですわ」
ナオミが僕の言うことを聞いた試しは無い。
離れないと言うように腕に絡みついたナオミに、溜息を吐きながらも可愛いと思ってしまう。
鍵がかかっていない事を確認して、門を押せば、錆びついた音を立てて開いた。
「ナオミ、足元気を付けて」
「はい」
どれだけ放置されていたのか、草が伸び切った庭を進み玄関まで辿り着く。
近所の住人によれば、この屋敷の主人が失踪したのは昨日今日の話ではないらしい。なのに、何故今頃になって捜索依頼が出されたのか…。
そもそも、この屋敷の主人に弁護士として雇われていたと話した依頼人自体、凄く不気味な人物だった。火傷を負ったと云って、顔中に包帯を巻いた男だった。
元々人見知りする小鞠ちゃんだが、あそこまで怯えていた事も気になる。あの男が来て以来、小鞠ちゃんは体調を崩し、社長の傍を離れようとしない。
あんな不気味な男なら仕方ない気もするが。
「随分暗いな」
「何年も締め切ったままだったのでしょうね」
外は真昼間だというのに、屋敷の中は別次元の様に暗かった。それから、扉を開けると変な湿気と黴臭さを感じた。
「ナオミ、やっぱり外…」
「ほら!兄様、早くいきますわよ」
やっぱり、僕の言うことは聞いて貰えそうにない。
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をたく - 夏目友人帳とコラボでこの作品出してほしい (2020年1月3日 4時) (レス) id: cd1a846ab2 (このIDを非表示/違反報告)
光牙 - 怪奇症候群を思い出すなぁ... (2018年8月16日 20時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - ルルさん» コメントありがとうございます!猿夢はグロいですよねwしかも、元ネタ読むと自分も同じ夢を見るという噂が…。まぁ、私見てないんですけど (2017年8月31日 6時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - ヒャ、猿夢はトラウマです…うぅ…(長い間見てなかったです。すみません) (2017年8月30日 5時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - にぃさん» ありがとうございます! (2017年8月27日 9時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:amato | 作成日時:2017年8月16日 22時