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倉持
「それじゃあ、また部活の時に！」
そう言って、戻ろうとするAの腕を咄嗟に掴むと驚いた顔をして俺を見てくる。
「クッキーの礼。好きなジュース奢る」
自然な感じで話してるが、心臓バクバクで。
Aの腕を掴んだままの右手に全神経が集中しちまってる感覚になる。
「でもこれ、色々話聞いてくれたお礼にあげたやつですから。お礼は大丈夫です」
「いいから！奢られとけよ」
「じゃ、じゃあ、ありがとうございます…」
掴んでいた手を離して、自販機の方へ移動する。
何にしようかと迷っている顔も可愛くて、しばらく横で眺めていた。
このまま二人だけの時間が続いてほしいなんて考えが頭の中を支配する。
好きだと伝えてAを自分のモノにできたら、どれだけ幸せだろうか…
「倉持先輩！これがいいです！」
Aの声にハッとして、指差しているジュースを買って渡すと礼を言って嬉しそうにしている。
もし告って失敗したら、こんな時間もなくなってしまうんだろうな…
そう考えると、好きだと伝えるのが怖くなる。
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作者名：おにぎり | 作成日時：2021年3月27日 6時
