そらのいろ ページ16
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そのあとの話をしよう。
同じ歯ブラシを買った。
同じコップに、少しだけ長さが違う箸を買った。彼女のチョイス、向日葵の柄のついた箸だ。
大きな鏡を買った。二人で顔を覗き込んで笑った。
扇風機を買った。これから来る夏を越すためだ。
ソファを買った。彼女が駄々をこねて、それに俺は負けて、海の方へ向けて置いた。お洒落な言い方をすればオーシャンビューだけど、そんな大層なものではなく「 ただの私の我儘 」と彼女は大きな声で笑った。
カーテンは真っ白にした。汚れは目立ちそうだけれど、青い海によく映えた。もちろん彼女の提案である。
麦わら帽子を買った。某アニメ映画に出てきそうなほどのありふれた麦わら帽子だが、それを被った彼女はこちらに眩しいほどの笑みを飛ばすものだから、目を逸らすより他に高鳴りを抑える方法はなかった。
あと一つ、彼女には秘密で、ペアリングを買った。もうすぐで来る“ その日 ”に備えてのものだ。どんな顔をするのだろうと想像するとまたもや心臓が高鳴り出した。お楽しみにしておこう。
それから、海に行った。砂のお城を作っている彼女を腕を組んで見ていたら、いきなり腕を掴まれて海に入れられた。まだ春だから寒くて身震いした。
その後は、あの教会まで行った。けれど中には入らなかった。その日まで残しておきたいと思ったからだ。むろん向日葵の花はまだ咲いていなかった。
俺は事務所に入ってアイドルを続けるとともにモデル業も再開した。学生時からの人気も相まってなかなかの話題となった。メンバーが全員夢ノ咲を卒業したら、本格的にまたKightsとして活動していくつもりだ。それまでは気も進まないがあいつと二人での活動になる。作曲魔人に彼女を会わせた時の苦労と言ったら、もう思い出したくないほどだ。
あと、このリングを渡すことができたのなら、正式に世間に公表しようと思う。たくさん苦労することはあると思うが、隠し通して生活するなんてとても無理だし、スキャンダルに巻き込まれることの方が彼女に迷惑をかける。
どうか、幸せであってほしい。
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作者名：ねむい | 作者ホームページ：
作成日時：2018年4月25日 5時
