アルフェラッツの傾慕【瀬名 泉】

徒然なる侭 ページ31

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「 はやくして！ 」
「 うう、ごめんごめん、そんな怒らないでって 」
「 誰のせいだと思ってんの！ 」



飛行機、乗り遅れちゃうでしょ と急かすと彼女はのんびりとした口調で聞いてくる。



「 まだ空港にもついてないのに…それより泉、どっちが似合うと思う？ 」
「 はぁ？何… 」



ワンピースを肩に合わせた彼女が見えて、悔しいけど見惚れてしまった。知ってか知らずか、口開いてるぞ と指差す彼女の頬を摘む。



「 いひゃひゃひゃひゃ、 」
「 …もう、どっちも買ってあげるからぁ 」
「 …へ？ 」



「 へ、じゃないよぉ 」



カードを取り出してワンピースをその手から取り上げ、レジへ向かう。後ろから走り寄ってきた彼女がいいのか？ なんて。だってもう、友達どころじゃないんだから。ね？



「 いらっしゃいませ…！？ 」



日差しもそこまでないのに、お揃いのサングラスをつけた客が来たら吃驚もするだろう。驚嘆の声を上げて店員が見上げてきた。身バレ防止というか何というか。でもまあ、バレても覚悟はできてる。



「 いず、… 」
「 ほらバカ、行くよ 」



「 あ、ありがとうございました〜！ 」と、そんな声を背後に浴びて店を出た。心配のしすぎかもしれないが、フラフラと何処かに行きそうな彼女の手をしっかりと握ってキャリーバッグを引きずる。時計を見れば予定時刻を少しだけ過ぎていて。



「 あんたのせいで遅れたんだけど…？ 」
「 んん〜？ 」



服の袋を抱えて、足取りが軽い。見事に上機嫌である。



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「 ねぇ、あれ瀬名泉だよね！ 」
「 やっぱり？隣にいたの彼女さんかなあ、いたんだ 」
「 まだ決まったわけじゃないでしょ！ 」
「 それにしてもおっきな荷物だったね 」
「 あっ、いらっしゃいませ〜！ 」



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