愛で溢れたこの世界【逆先夏目】

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『 ____……愛されたい？




簡単さ、他の人を愛せばいい。他の物を愛せばいい。恋とか好きとか、そんなものは関係ない。鳥も、森も、蟻も、雑草も、自分が一番嫌いな人も、自分が世界一好きな人も、地球も、宇宙も、全部全部全部！



愛せ！
アイせ！
iせ！




ほら、哀しくなんてないだろう？虚しい気持ちも消えるだろう？自分すらアイして仕舞えばいいのさ。空回りなんてしない。自分を愛せたのなら、その気持ちはきっと嘘じゃないから。




嫌いな人は愛せない？そんなの馬鹿の言うことだ。馬鹿は死なないと治らない。さっさと帰って眠るんだ。ほら、君の欲しがっているものはすぐそこにある。死ねば、楽になることもある。だってそうだろう？君が死んで悲しんでくれる人がいるのなら、それは君がアイされていた証拠になる。




死んでみないとわからないね、そんなもの。だって簡単にアイを確かめる方法なんて存在しないのだから。永遠を誓い合っても、指を切っても、結局ヒトは情に流されるだろう？だったらそんな感情棄ててしまえばいい。ゴミ箱に投げ捨てるんだ、ほら早く。そうすればアイされる必要なんてないだろう？纏わり付いている柵が、全て無くなるのだよ。





ーーそれでもアイに執着するのなら、やはり皆を愛せ。君の周りに集まる皆。自分から寄ってきてくれたのなら、おめでとう！君は少しでもアイされている。



生きにくい世界で少しでも息を吸うことができるのなら、君は恵まれている。言い換えれば、世界にアイされているね。そうだろう？見てごらん、世界は広いのさ。




愛で塗れて、愛に噛みつかれて、斬られて、殴られて、愛に殺されて。そんな世界で誰かを愛することができるのなら、君はとても恵まれている。ほら、君の知らないうちに世界は廻っている。ヒトに生まれただけでも君は幸せさ。



これこそラブアンドピースって言うの？違うかもしれないけれど、少なくとも世界は平等に作られてない。




だから愛せ。自分に関わるもの、周りにあるもの、兎に角全部全部！




“ アイされる ”ことがどんなに重くて、罪深くて、そして幸せで。




理解することができたのなら、君はもうこの表紙に触れることもないだろう。





ほら、まずは自分を。






……______ 』






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