15 .運命( 1/2 ) ページ24
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すっかり体調もよくなり、赤司くんと一緒に出かけられるようになった。
赤「 それじゃあ、行こうか 」
『 うん !』
目的地まではそんなに遠くないようだけれど、
まだ知らない景色が広がっているから、
とても長く感じた道のりだった。
赤司くんが教えてくれるものは、
どれもこれも素晴らしいものばかりで、
視界に入る全てに、耳に入る全てに、
心を奪われる。
その感覚は、わたしに幸せをくれる。
赤「 着いたよ 」
そう言われて前を向く。
…ここに来たことはないはずなのに、
なぜだろう、とても懐かしい景色。
赤「 洒落た場所ではないが、ここは少し、面影があってね。夢でよく見るんだ 」
『 夢 ?』
そう言えばわたしも、
夢で見たことがある気がする。
少年と少女が出会う夢。
赤「 A、僕と君が出会ったことがどういうことか、考えたことはあるかい ?」
『 えっ ?いや、考えたことないけど 』
赤「 …僕は、考えたことがあるんだ 」
『 え ?』
赤「 僕たちが生きているこの世界には、僕たち以外にも、数え切れないほどたくさんの人が存在しているんだ。その中で、僕は君の住む世界に足を踏み入れて、君に帰れと言われても引き下がらず、それどころか、手を差し伸べたんだ。もしも僕があそこで引き返していれば、手を差し出さなければ、君と僕は見知らぬ者同士だったはずなんだ。そう考えたら、君と今こうしていることがとてもすごいことなんだ、と 」
どこかで聞いたことのある言葉。
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作者名:陽茉理 | 作成日時:2017年8月10日 16時