11 .真実( 1/2 ) ページ18
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ゆっくり歩いて帰ると、
白馬に乗っているときとは違う景色が
わたしの視界に入る。
風もとても心地よい。
『 送ってくれてありがとう。もうここで大丈夫だから 』
赤「 そうか、お大事に。また元気な君に会えることを楽しみにしているよ 」
またね、と上げた右手が妙にもどかしい。
触れたドアノブが冷たくて、
扉を開けるのを一瞬ためらったわたしがいた。
「 おかえり 」
だれもいないはずの空間に、
聞き覚えのある声がわたしの耳に入った。
『 お母さん… ?』
母「 どこに行ってたの ?」
『 帰ってきてたの ?』
母「 だれといたの ?」
『 遅くなるって言ってたのに 』
母「 質問に答えなさい。だれと、どこに行ってたの ?」
『 お母さん聞いて ?外の世界は、そんなに悪いものじゃないし、そこに住んでる人たちもいい人なの !』
母「 まさかあなた、洗脳されたの ?」
『 ねえ、お母さんだって知ってるんでしょ ?外の世界が素晴らしいってこと。そうじゃなかったら、トラウマを我慢してまで外になんか出ていかないはずでしょ ?』
母「 お母さんの言うことが聞けないの ?そんなに悪い子だった ?違うでしょう ?」
『 言いつけを破ったことはちゃんと謝る、ごめんなさい。でも、』
母「 言い訳はやめてちょうだい。聞きたくもないわ 」
そう言ってわたしをベッドに突き飛ばす。
『 いっ… 』
母「 いい ?あなたは外に出ちゃいけないの 」
『 どうして ?わたしはもう子供じゃない 』
母「 いいえ、子供よ。親の言いつけを守れない悪い子供 」
『 違う !わたしは…っ !』
母「 言い訳は聞きたくないって、言ってるでしょ !!」
『 ……ねえどうして… ?理由を教えて ?』
母「 危険がいっぱいだって、何度も教えてあげたでしょ ?今更なにを言ってるの ?」
『 じゃあどうして、お母さんは出ていくの ?危険だってわたしに言うのに、トラウマを抱えているのに…なにか言えない理由でもあるの ?』
母「 あなたに話す必要はないわ 」
なにかを隠している、そう確信したわたしは、
思い切って口を開く。
『 話してくれないなら、言いつけを守らない 』
母「 …それはつまり、話したら守るってこと ?」
『 ………うん、守るよ 』
真実が知りたい、その一心で約束を結んだ。
母「 …いいわ、話してあげる 」
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作者名:陽茉理 | 作成日時:2017年8月10日 16時