【黒バス】少女が世界を知ったとき。【赤司征十郎】 (ページ14)

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９．体験( 1/3 ) ページ14

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お母さんの言っていたことが
嘘っていうわけじゃないけれど、
この世界は恐ろしいことよりも、
素敵ことの方が多い。

赤司くんがそれを、わたしに教えてくれた。
そしてわたしは、
こうして新しい人たちと出会うことができた。

黛「なあ赤司。そいつ、その格好じゃここから追い出されるんじゃねえの？うちの学生以外は入れねえからな」

赤「たしかにそうだね。よし、A 」

僕のジャージを貸してあげるから、
と言われて着替えてみたものの…。

『おっきい、』

５人の中で１番小さいと言っても、
わたしには大きすぎるジャージは
とてもぶかぶかだった。

男の子って、こんなに大きいんだなあ。

『赤司くん』

赤「着替えてきたのか。…すまない、やはり大きかったようだね。でもそれが１番小さいサイズだから、部活が終わるまで我慢してくれ」

『うん、わかった』

赤「これから僕たちは練習に入る。危ないからAは、そこの椅子に座って観ていてくれ」

そう言って、赤司くんがみんなを集め、
笛の音で５人が一斉に走り出したかと思うと、
手をひらよりも大きなオレンジ色のボールを
すばやく回しては、また受け取る。

そのまま端にあるカゴにシュッ、と
投げ入れた赤司くん。

この一連の動きを繰り返して行うスポーツらしい。

はじめてみた、バスケットボール。

ボールがカゴに入るたびに、
ピーッと笛の音が響き渡る。

小鳥のさえずりとは違う、力強いその音が、
何度もわたしの耳に入る。

すごい。その一言しか出なかった。
ルールなんてわからなくても、
それだけはわかった。

赤色と橙色の眼を光らせては、
ボールを奪い取りカゴに入れる。

バスケットボールをしている赤司くんは、
王子様じゃなくて、王様に近い気がする。

それも、最強の王様。