【黒バス】少女が世界を知ったとき。【赤司征十郎】 (ページ1)

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１．ひとりの世界ページ1

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わたしは、いつからこうしているのだろう。

真っ暗な部屋で、ただひとり。
時間も、何年経ったのかも、
外の世界の景色も、なにもわからない。

" 外の世界は危険がいっぱいだから "

お母さんにそう言われてから１度も、
わたしはこの部屋の外へ出たことがない。

わたしが産まれた直後、
何者かに誘拐されそうになったわたしを守ろうとして、お父さんは命を落とした。

そのことをトラウマに思っているお母さんは、
わたしを連れて、この暗い、
人気の無い場で暮らしている。

母「じゃあお母さん、遠くに行くからしばらく帰ってこないけど、ひとりで大丈夫よね？」

『うん』

母「絶対に、絶対に、外に出てはダメよ」

わたしを優しく抱きしめて、
心配そうにそう言うお母さんに、わかってる、
わたしはそう答えた。

部屋を出ていくお母さんを見送るたびに、
思うことがある。

外の世界はどうなっているんだろう。

わたしのことを狙う人がほかにも…

そういう不安はもちろんあるけれど、
わたしの知らない世界を見てみたい。
そういう好奇心に近いものが、
日に日に増えていっていることは確かだ。

部屋にひとつだけある小さな窓から
顔を覗かせてみても、草原が広がっているだけの、
殺風景な世界。

わたしが知っている世界は、それだけ。