宣戦布告45 ページ46
家に帰ると、珍しく義父が出迎えてくれた。
『ただい…ま…?』
有馬「お帰りA」
『…えー、と。』
『何で家の中こんな焦げ臭いの…?』
焦げ臭さの原因は、もうもうと黒煙を上げている電子レンジだった。
『卵は電子レンジ、危険だからダメだって言ったでしょ!?』
有馬「ごめん…卵、温めたくて」
『なに親鳥みたいな台詞言ってんの、可愛いんだけど!うわぁ至る所から火災現場の匂いがする…』
どうやら義父、凹んでいた私を見兼ねてケーキ作りにチャレンジしようとしたらしい。
そして結果がこの地獄絵図。
有馬「…」
『あぁもう、そんな凹まないで!大丈夫だから!』
しかし私よりしょんぼりしてしまった有馬さんを責める訳にも行かず、打開策として私は家近くのコンビニに走り手近なケーキを買って来る羽目に遭った。
『いただきまーす!…ほら有馬さんも』
有馬「いただきます」
気を取り直し、夜のささやかなケーキパーティ。
黒焦げとなって天に召された電子レンジは後日買い直す事にした。
『ごめんね、ココ最近ナーバスで』
生クリームを口にしながら言うと有馬さんは「いや」と短い返事。
有馬「Aはいつも悩みを溜め込むから…心配してた」
『んー、心配かけてたか…』
有馬「でも今は大丈夫そうだね」
有馬さんの涼やかな瞳が私を捉える。
有馬「新しい班はどう?」
『…んー』
私は暫しケーキを頬張るのをやめ、二人の上官に思惟を巡らせた。
琲世さんは…前よりは暗くなったけど、根本は優しい琲世さんのまま。
──────だけど旧多さんと来たら。
『何か、キジマさん居なくなってから…旧多さんが猫被りキャラから本当に悪辣になったんだよね』
さらっとばらすと有馬さんは残念そうに眉を下げた。
有馬「ニムラ、遂に素のキャラ出し始めたの?」
『うん。酷いもんよ…あぁ、でも』
私は一度言葉を切り、小さく笑う。
このまま旧多さんをボロクソに言いまくるのも良かったが、今日だけは少し持ち上げておこう。
私に前を向かせてくれたのは旧多さんだから。
『ムカつくけど、やっぱり上官だなーって思う』
有馬「…そっか」
『──────まぁ、腹は立つけど 』
いつもは死ぬほどムカつく、でもいざと言う時は私を助けてくれる旧多さん。
つくづくズルい上官。色んな意味で。
顔を顰めた私を見て、有馬さんは微笑を漏らした。
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みきざわ(プロフ) - あずまさん» 鼻血どんどん出しましょう!(笑)閲読有難うございます〜! (2019年1月23日 19時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
あずま(プロフ) - あぁ…やばい、、、鼻血でるぅ(;´Д`)ハァハァ (2019年1月23日 15時) (レス) id: 97c5686003 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - えぬ=)さん» ニムラの魅力、少しでもお伝え出来ているのなら幸いです!尊敬だなんてそんな、勿体ない(笑) 嬉しいお言葉、恐縮です! (2019年1月21日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ=)(プロフ) - ああ……溶けちゃいそうです……← 本当に最高です……前作からずっと思ってたけど最高です……尊敬してます……!何故そんなににむにむの魅力を素晴らしいクオリティで書けるのか……尊敬してます(二回目) (2019年1月21日 0時) (レス) id: ae2a3cb03d (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハニーさん» 謹んで新年のお慶びを申し上げます!2019年がハニー様の良き年になる事を願っております... (2019年1月1日 0時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みきざわ | 作成日時:2018年12月16日 18時