宣戦布告46 ページ47
《旧多 side》
旧多「は〜いAさん、捜査官ブレンドでぇす♡」
『え!?』
准特等に珈琲を淹れるついでにAにも淹れてやると、普段生意気な彼女は大袈裟な驚愕を見せた。
『旧多さんが私に珈琲…え、毒盛ってんのかな上官』
旧多「聞こえてますよー」
『だ…だって、珍しいじゃないですか!』
訝しげな顔をして暫くは疑っていたAだが、僕がコップをいつまでも突きつけているうちにとうとう折れる。
『じゃあ…いただきまーす』
旧多「お代は500円で結構ですよ」
『え!?どんなコーヒー豆使ってんですか…』
渋々、という感じながら素直に珈琲を手に取った部下に気を良くし、僕は上機嫌でデスクに戻る。
旧多「〜♪」
初めは可愛くねぇ小生意気なクソガキと思っていたAだが、最近は一周回って手のかかるペットの様に思えて来た。
従順さとは程遠いが、手懐けるのは意外と簡単。
『うわぁ美味し〜♪』
ほらね。
たかがインスタントコーヒーだけで、すぐ機嫌を取れる。
やはりチョロいな、と腹の中で嘲笑っていた時だった。
『旧多さんっ』
旧多「…はい?」
ふと名前を呼ばれ、顔を上げると目の前には妙に明るい笑顔のA。
『はい、どうぞ!』
その彼女に手渡されたのは…珈琲豆の入った小箱?
旧多「何です?これ」
怪訝に思って問い返すと、Aは血色の良い頬を上気させて答えた。
『珈琲豆です!ほら、私、最近旧多さんに迷惑かけてばっかでしたし』
だからプレゼントです、とはにかんだAに僕は呆然とする。
Aが…前まで散々僕をクソ上官だの悪辣だのと罵り倒していたAが、
僕にプレゼント?
旧多「…明日は地震でも起きるんですかね」
ぼそっと呟くもAは聞いておらず、鼻歌交じりに早々と僕の元を去って行く。
手の中には小ぶりだが丁寧にラッピングの施された紙の箱。
メッセージカードにはAの達筆な字で【上官様へ】と刻まれている。
旧多「…ふふっ」
何故だろう、たかが小娘の社交辞令的な…しかも見るからに安っぽい贈り物なのに。
《エサ》用の女や遊びで捕まえた女から貰う、どんな高級な品より。
上層の人間達から貰う、豪勢な贈り物より。
旧多「…嬉しいな」
こんなにも心が躍るなんて。
僕は箱を大事にカバンへと仕舞い、緩んだ頬に難儀しながらも仕事を再開した。
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みきざわ(プロフ) - あずまさん» 鼻血どんどん出しましょう!(笑)閲読有難うございます〜! (2019年1月23日 19時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
あずま(プロフ) - あぁ…やばい、、、鼻血でるぅ(;´Д`)ハァハァ (2019年1月23日 15時) (レス) id: 97c5686003 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - えぬ=)さん» ニムラの魅力、少しでもお伝え出来ているのなら幸いです!尊敬だなんてそんな、勿体ない(笑) 嬉しいお言葉、恐縮です! (2019年1月21日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ=)(プロフ) - ああ……溶けちゃいそうです……← 本当に最高です……前作からずっと思ってたけど最高です……尊敬してます……!何故そんなににむにむの魅力を素晴らしいクオリティで書けるのか……尊敬してます(二回目) (2019年1月21日 0時) (レス) id: ae2a3cb03d (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハニーさん» 謹んで新年のお慶びを申し上げます!2019年がハニー様の良き年になる事を願っております... (2019年1月1日 0時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みきざわ | 作成日時:2018年12月16日 18時