変われない彼女は【はたけカカシ】 (ページ6)

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伍ページ6

(そろそろ帰ってくる頃かな)

まだ小さい体で一生懸命皿を洗って
やることがなくなった私は
畳の上でゴロンと寝そべっていた。

コンコン

『ーーーはい！お母さ……ま』

勢いよく扉を開けた先
見知らぬ男が見下すようにこちらを見ていた

「ここはみずかわの家か」

『えっ…？…えっ、と……どちら様で…』

「否定しないと言うことは間違いないのだな？」

ーーーーこわい

Aが母以外の人と接することはほぼなかった

とても威圧的で見下すその目が怖くて、
全身から嫌な汗が流れていく感覚だけがあった。

「哀れな女だ、こんな小娘1人の為に。

黙って俺と共に生きると誓えばよかったものを。」

"消えろ"

その言葉と共に、男の後ろからもう1人男が現れ

手を動かしたと思うと

…大きな…火…！！？

玄関を塞ぐように、大きな炎が揺れていた。

その大きな炎が家を焼いていくのはあっという間で

その後の事はよく覚えていなかった。

ただ覚えているのは、

「A！！」

必死で私を助けようとするお母様の

焼けてただれてしまった顔だった。

その後、A達は病院に運ばれた。

顔から肩にかけてと、
脚に大火傷を負ったレイ(Aの母)は
なんとか意識を取り戻したものの

花街での仕事は出来なくなった。

ただれてしまった顔と脚

レイは人前に出る事を拒んだ。

そこへまた、あの男がやってきた。

放火をしたのもこの男である事を
レイは聞かずもがな分かっていた。
何度も訴訟しようとしたが、
証拠がどこにも無いと一蹴されてしまった。

なんせここは里の端っこも端っこ、
証言者などいなかった。

男が自分の娘を殺そうとしていた事がわかった今

「Aは死んだ」
実際は生きているが
そういう事にするしかしかなかった。

家も失い、美貌も失い、生活も失ってしまった。

「俺なら、その醜い顔のお前に住む家と
生活できるだけの金を渡してやろう
ただししっかりその分働いてもらうぞ

その身体でな」

涙も出ない
生きる為の苦渋の判断だった。