【あんスタ】執事は愛される【男主】【完結】

２１。 ページ21

.





『私も共に夕食を取るのですか？』

「はぁ？あんたどうせ何も食べないんでしょ？それか、適当にコンビニのカロリーの塊でも食べてるんじゃない？」





……なんで知ってるのか。


コンビニに一度謝ってきてほしい。美味しいのに。ていうか、夕食を一緒に食べるなんて気不味い。





「そーいえば、昔はこんな風に食べてたねぇ」

『そうですね。あの時はありがとうございました』

「本当、生意気なガキだった」





懐かしい。

あの時は本当に金がなくて瀬名家にずっと居座っていた。こうして共に昼食や夕食を食べていた。





「本当、俺とパパとママに感謝してよねぇ」

『はい。心から感謝しています。泉様もありがとうございました』

「………あっそ」





泉様はプイッと視線を逸らした。


この人はいつも不機嫌な素振りだ。ここに遊木様がいたらきっと人が変わるようにご機嫌になるのだろう。





『遊木様とはその頃から親しかったのですか？』

「ゆうくんはあの頃もすっごく綺麗だったよ。ま、今ももちろん綺麗だけどぉ」






遊木様は、確かに綺麗だ。ずっと見ていたからわかってる。単に見た目だけでそう思ったわけでは無い。
確かに見た目もとても綺麗だ。だけど、心も綺麗だ。



何も知らなくて、純粋で、優しくて暖かくて、自分の意思を中々言えないようだが、夢や希望がある。
泉様が守りたくなる気持ちもわかる。




俺は遊木様とは正反対で、世間の汚いことも理解してるし、自分自身がその汚い人の仲間。


だから、泉様は鬱陶しいんだろう、俺が。






『良いですね、遊木様は』

「………ゆうくんは俺の宝物だから」





宝物、か。




･

２２。→←２０。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す