１０．先に逝くことを ページ12
葵SIDE
二番隊隊長と副隊長…。どっちもガラ悪い見た目ね。銀髪と青髪って…、中々不良でもその色は見ないわ。
葵「三ツ谷隆…と、柴八戒でいいんだっけ」
八「……」
無視か…。
三「悪ぃな、コイツ女目の前にするとフリーズしちまうんだわ」
なんだか不思議、この人たち。普通の不良じゃないみたい…。
三「東卍は女に手を上げたりしねぇ、だから…違う奴連れてこい」
は？…女だから手を出さない？違う奴を連れてこい？
ふざけんなよ…、女だからやられないなんて…何のために私は不良の道を選んだんだ。
葵「性別は関係ない。…本気で来い」
ちょっと…カチンときちゃった。大丈夫かな…。
八「タカちゃん、やっちゃおうよ」
三「…向こうはがぜんやる気だもんな」
…どうやらやる気になってくれたみたい。二人いっぺんに向かって来た。そう…そうでなくちゃ。
葵「女だからって…チビだからって…」
私はその場で跳び上がって二人の攻撃を避け、三ツ谷の後ろに回った。
葵「手加減したら殺すから」
三「グっ…！？」
首に腕を回して絞める。副隊長が焦ってそれを止めにくるけど、空いてる片方の手で拳を受け止める。…どっちかに気が行ってしまわないように意識するのが大変だ。
葵「はい、一人」
隊長の方は落とせたかな。なら…後は簡単。
八「タカちゃん！！」
葵「知ってた？羅賦良簾の主戦力って私と首領と紫苑なんだって」
上を失った下っ端の動きって鈍くなりがちだよね。こんなの…私の敵じゃないわ。
八「ガハッ…」
終わり…。椿はもっと前に終わってたけど、私雑魚の方からやってったからちょっと時間かかっちゃった。
早くAちゃんの助けに行かないと…。
不「羅賦良簾の幹部、取ーり！」
葵「！？」
ナイフ…！？マズイ…刺され…、
葵「ァ…ガッ…！」
お腹…刺されたな…。なんで…たかが抗争で…刃物使うのさ…。
葵「A…ちゃん…。ごめん…助けに…いけない…」
私はその場で目を閉じた。死ぬってこういうこと？…スゴイ…痛いとかそういうのじゃなくて、ただ…感覚がない。
…眠い。
Aちゃんとの思い出…、羅賦良簾での思い出…たくさん脳裏過っていくんだけどさ。これって…走馬灯なのかな。
「桔梗！桔梗！！」
あぁ…幻聴まで…聞こえてきちゃった。Aちゃん…、先に逝っちゃうけど許して。
頑張って…、…東京卍會潰して。
まだ…私、死にたくないよ…。
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作者名：suffron* | 作成日時：2022年9月19日 20時
