283 ページ33
それから暫くして、私の風邪もすっかり治った
その日は亜樹が学校からプリントを持ってきた
それを見てみると進路希望調査のようだった
貴「どうしたの？これ」
亜「……どうしたら良いか分かんなくなったから、母さんたちに聞こうと思って」
灰「分かんなくって…まず進学か就職を決めたら良いんじゃねぇの」
亜「その、それを悩んでて…」
言い澱みながら亜樹は修造の方をチラチラと見ている
私たちに何か言いづらくても修造になら話せるようで、よく相談しているようだったから
それに、小さい頃は私や祥吾が叱った時は必ず修造が庇っていたからつい助けを求めてしまうのかもしれない
虹「…………俺は言ってやらねぇぞ。自分で言え」
亜「う…」
貴「…そんなに言いづらい事なの？」
亜「んーっと…い、言っても怒らない？」
灰「内容による」
亜「………その、俺さ、進学したいと思ってて」
貴「ええ」
亜「でも進学するのは…冷泉を継ぐためじゃなくて、」
「医者になりたいんだ」
そう言った亜樹の瞳には少しだけ涙が滲んでいた
……医者？
貴「良いじゃない、お医者様でしょう？」
灰「なに言われるのかと思えば…医者になりたいなら医大に行けば良いんじゃねぇの？」
亜「…え？」
虹「だから言ったろ、怒られるわけがないって」
貴「むしろどうして怒られると思ったの？」
亜「だ、だってさぁ、ほら…うちって征十郎のとこみたいじゃないから…。世襲制でしょ？継がないといけないかなって…」
灰「ああ…そういうことか」
亜「継がないとじいちゃんだって父さんだって困ると思って…。それに、母さんも実家だし、」
そこまで考えてくれたのね…
……優しい子
亜樹に比べて私は…こんなに考えてくれる亜樹を随分不安にさせてしまったようだわ
貴「…大丈夫よ、亜樹。継がなくたって良いの、貴方のやりたいことをしたら良いのよ」
灰「お前が継ぐ気ないなら世襲はやめようと思ってたし。つーか時代錯誤だろ、世襲なんて」
亜「…よ、良かったぁ……」
虹「杞憂だったな」
亜「うん、安心した…」
灰「それにしても医者か。まあ、亜樹は頭が良いからな」
亜「学校の先生にもお前なら大丈夫だろうって言われたんだ」
貴「あら、すごいじゃない！でもどうしてお医者様になろうと思ったの？」
亜「……それは…」
虹「今のうちに言っといた方が楽だぞ」
亜「…じゃあ、言うけど。その……俺が医者になれば母さんのこと診れると思って」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
碧夜叉 - カコさん» ありがとうございます！無事に完結出来て私もホッとしています。お身体大丈夫でしょうか？最近また冷え込んできましたのでまたご自愛ください。応援、本当にありがとうございました！ (2018年12月30日 0時) (
レス) id: fa67c2696c (このIDを非表示/違反報告)
カコ - ううう、風邪で寝込んでいる間に完結していた・・・おめでとうございます。そしてお疲れ様でした。素敵な作品を本当にありがとうございました。 (2018年12月21日 23時) (レス) id: 7a3bf8ffac (このIDを非表示/違反報告)
碧夜叉 - Miraさん» こちらこそコメントありがとうございました。活躍出来るよう日々精進して参りますので、どうぞ宜しくお願いします。 (2018年11月7日 5時) (レス) id: fa67c2696c (このIDを非表示/違反報告)
碧夜叉 - Miraさん» それなのに探し出して頂けて感極まっております…！！わざわざ貴重な時間を費やしてくださってありがとうございます。黒バスの作品でしたらいくつか書いているので、もし良ければそちらも読んで頂けたらと思います。 (2018年11月7日 5時) (レス) id: fa67c2696c (このIDを非表示/違反報告)
碧夜叉 - Miraさん» 大ファンと言って頂いてとっても嬉しいです！今になって消さなければ良かったな…と思います。後悔先に立たずとは正にこの事ですね。あの小説以降、セクメンの作品は書いていないので私を探すのはとても難しかったと思います。 (2018年11月7日 5時) (レス) id: fa67c2696c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：碧夜叉 | 作成日時：2018年10月31日 17時
