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カマナ「禁忌に触れた、と言う事は東雲氏族は……」
「ご明察の通り、侵入者により東雲氏族は私を残し、先立ちました」
"申し訳ありません"そう。この禁忌は東雲氏族が途絶えた時のためにあった。
私が禁忌に触れたのはそれが理由だった
頭を下げるとカマナ様が頭を上げろ、と言った
カマナ「そなたが謝る事ではない。そなたに永久封印という選択肢しか残さなかった、我ら先代が悪いのだ」
カマナ「本来ならば、先代である我らが永久封印をすればこんな事にはならぬのだ。それを我らは自分の転生惜しさに、禁忌には触れてこなかった。それ故にそなたが犠牲になった」
"情けない話だ"カマナ様は、悔しそうにそう言った
「……東雲氏族の皆は、私に想いを託して最期まで守って下さったのです。それに、大切な人達が生きる世界を、この先守れるのなら本望でございます」
記憶が蘇ろうと私の意思は、変わらない。
私を守り通してくれた氏族の皆が、転生した世界を
そして私と出会ってくれた、みんなの現在を
私の大切な人たちが、これから生きる未来を守るためなら
彼らの行く末を守れるのなら、
転生権なんて喜んで差し出そう
例え、東雲氏族の血縁者がどこかで生きながらえていたとしても
私が全てを終わらせれば、もう誰も儀式で運命を終える事はない
これが私の運命なんだ
カマナ「……そなたは強いな」
"飛影も気にいるわけだ"カマナ様の横で聞いていた飛影様はフォーンと鳴いた
カマナ「さて。そろそろ儀式を始める時だ」
チリンと鈴を鳴らした
カマナ「そなたには永久封印という決断をさせてしまったからな。せめて、儀式を終えるまで、東雲氏族の適合者としてではなく、普通の人間として幸せに生きて欲しかったんだ」
"今まで記憶を封印して悪かった"カマナ様の手が私に伸びた
そこで私は思い出した。記憶が封印された時、先代様から言われた言葉を。
一瞬にして砂隠れで過ごした2年間分の思い出がよぎり、私の心は穏やかだった
「………私は、幸せでした」
そういうとカマナ様は微笑んだ
カマナ「目覚めろA、時が来た」
カマナ様が私の額に触れると、私の目の前はどんどん暗闇に支配されていく
"飛影を頼んだぞ"最後に聞こえたのは、カマナ様の声だった
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作者名：紫希 | 作成日時：2021年6月8日 1時
