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「風影様」
呼びかけると、足を止めて私と向き直る
私は、言わなくてはいけないことがある
「……記憶のない2年間、砂隠れの民だったとはいえ、東雲氏族は本来、木ノ葉の民。それ故に今日まで仕えて参りました。」
「今や私は人柱力。まして木ノ葉の重鎮として里を任されております故、砂隠れへ帰るのは不可能。」
目覚めた時点で、人柱力である私が砂に戻れば、砂隠れに恩を返せたはず。
そうしなかったのは、人柱力は元より、東雲氏族は木ノ葉の民。今まで木ノ葉の加護あって守られてきたこそ。
木ノ葉も砂も。どちらも裏切れない。
だからこそ、火影様の言うように政治の重鎮となり、砂隠れと木ノ葉の政治が上手くいくようまとめてきた
「風影様に仕えていた身でありながら、恩を仇で返すような真似をしてしまい、深くお詫び申し上げます」
頭を下げると、風影様は頭を撫でてくれた
我愛羅「お互い立場も事情も、変えられぬ過去もある。風影になって13年、それは俺もよく理解している」
"顔を上げてくれ"立場、という言葉がやけに胸を刺した
再び私の手を引いて歩き始める風影様の顔は、少しだけ寂しそうだった
我愛羅「しかし、木ノ葉に、人柱力に、重鎮、か。これはなかなかに手強そうだな」
そんな風影様の呟きを理解できぬままだったが、何か考えながら歩いているようだったから、追求はしなかった
風影様の横顔を見ていると、改めて5年という歳月を感じた
5年前までは若々しい印象の髪型だったけど、今は七三分けに風影としての前よりも風格を感じる
お互いの5年を話したとは言え、私の知らない風影様がいるようで、少しだけ寂しかった
「……((ﾎﾞｿｯ 私の知らない風影様、か」
我愛羅「ん？何か言ったか？」
「気のせいですよ」
私達は砂隠れの里に着く頃には、どちらともなく手を離した
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作者名：紫希 | 作成日時：2021年6月8日 1時
