鈍感な人 ページ31
華成さんの提案により、私達は今晩、斎藤家に泊まることとなった。
囲炉裏を囲みながら雑談してたのに終止符を打ち、華成さんと伊那さんとの三人で後片づけに明け暮れる。
その間の雑談も絶える事がなく、若い女性特有の会話(恋バナ)が盛り上がっていた。
貴女「斎藤さんとは、もう籍を入れたんですか?」
華成「いいや、まだだよ。
戦が終わって数ヶ月だし、まだ世の中落ち着きないもん。
新選組だったってバレるのも問題あるし。」
私の質問に華成さんは飄々とした口調と態度で返した。
あまり、籍を入れる入れないは華成さんにとって重要な問題ではないらしい。
それよりも、今の状況を楽しんでいるように見える。
貴女「伊那さんは、不知火さんとどうなんです?」
伊那「どう?
どうって、どう言う意味?」
首を傾げる伊那さんは妙に幼く見える。
その行動で私は悟った。
この人、恋愛に驚くほど鈍感で疎い。
いや、鈍感すぎて、もしかすると不知火さんの気持ちに気づいていない。
華成「伊那、アンタ、不知火が好きなんじゃないの?」
伊那「意味わからんし。」
訝しげに切り捨てるが、伊那さんは神妙な面持ちで思案する素振りを見せた。
そして、何か思い当たったように、
伊那「ウチ、不知火の事嫌いやに。
一緒におると、なんか、こう・・、動悸が激しくなって苛々する。
けど、近くにおらんとムカツク。」
と、眉を顰めながら胸元を抉るような勢いで掻き毟る。
高揚を隠すように伊那さんは居間に座っている不知火を睨みつけた。
伊那「やっぱ、嫌いやわ。」
その行動に私と華成さんは顔を見合わせた。
そして同時に笑いを吹き出してしまう。
クスクスと笑いながら後片付けを終えて、今度は寝具の準備をした。
幕末、明治に今のような便利な電気はない。
日が暮れて暗くなる=寝る、と言うのは、この時代あたり前だった。
狭い部屋に右から斎藤さん、華成さん。
真ん中に不知火さん、伊那さん。
そして、左の端にトシと私と言うように並んで寝る事になった。
華成「火、消すよー」
フゥ、と言う吐息と共に行灯に灯った火は吹き消された。
静寂に包まれた後、私はソッと隣で横になるトシの手に触れて見た。
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黒豆粉 - うおおお!終わり方カッコいいし、何よりお話が最高!!めっちゃ神作だ!ありがとうございました。 (2021年3月19日 23時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - 亀吉さん» 亀吉さん>そんな、最高だなんて嬉しすぎてニヤけちゃいます! 文の構成など、ド素人で上手くかけているか不安でしたが、そう言ってもらえると安心します! 長い小説になりましたが、最後の最後まで本当にありがとうございました!! (2014年3月29日 19時) (レス) id: 37539a4d10 (このIDを非表示/違反報告)
亀吉 - いいお話でした!!最高です!!文の構成とか惚れ惚れしちゃいました。これからも色んな作品を書いて下さい!! (2014年3月29日 19時) (レス) id: e342c6528a (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - セレ―ナさん» セレーナさん>ありがとうございます!! 作者自身も二人のやりとりは書いていて楽しかったです^ ^楽しんでもらえて光栄です! 未熟なものでご迷惑をおかけした事もありましたが、最後の最後まで本当にありがとうございました! (2013年6月27日 19時) (レス) id: 37539a4d10 (このIDを非表示/違反報告)
セレ―ナ(プロフ) - 一章からよませていただきました!主人公とトシのしりとりのやり合いがすっごく面白かったです!!お疲れさまでした!! (2013年6月24日 0時) (レス) id: c5f487b712 (このIDを非表示/違反報告)
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