空白だった ページ24
まだ咲ききらぬ桜を見上げ、トシは一つ一つ語りだした。
私が現代へ戻ってから6年の空白。
それは、とても長いもので、ただただ話を聞いているだけじゃ分からない事もあった。
貴女「伊那さんの日記?」
とくに分からなかった事はトシが言った日記だ。
飄々として気まぐれだった伊那さんの本音が、その日記には綴られていたらしい。
もちろん、私の事も。
トシ「その日記は華成が持ってる。
伊那が異国に出航する日、朝廷に力を付けられたくない幕府側の浪士に襲われたらしい。
そこから6年は行方不明だったが、無事だと分かったのは昨日だ。
伊那が不知火と蝦夷へ来て、地球儀の使い方だけ教えて帰っていった。」
意外なトシの言葉に私は混乱してしまう。
伊那さんは浪士に襲われたが、無事だったのだろう。
で、6年間どこかで生きていて・・
でも、なんで不知火さんと?
貴女「よく分かんないけど、伊那さんは無事なんだね。」
日記の内容を聞く限り、伊那さんが私を現代に帰したのは私のためだった。
浪士に殺されるはずだった私を伊那さんが助けてくれた。
貴女「言ってくれたら事も丸く収まったのに。」
トシ「そうだな。」
けど、最終的に戻ってこれた。
苦笑を交わしながら、今度は華成さんについて問う。
貴女「華成さんは斎藤さんと一緒になったの?」
トシ「あいつ等は最後まで会津で戦っていた。
今は二人で所帯をもって暮らしてる。」
ホッ、と安堵し、胸を撫で下ろす。
他の人の事を聞こうと思ったが、聞かない事にする。
歴史を専門に勉強してきた私は新選組がどういう結末を辿ったのか知っている。
だからこそ、聞かないのだ。
貴女「歳月的に戊辰戦争は終焉しているよね。
ねぇ、トシ!華成さんに会いに行こう!!」
トシ「はぁ?」
驚くトシを私は手を引いて立ち上がらせた。
意味がわからない、と言いたげなトシを力ずくで引っ張る。
トシ「全く。
なら、乗せてくれる船を捜さねぇとな。」
苦笑を深め、今度はトシが私を引っ張って歩き始めた。
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黒豆粉 - うおおお!終わり方カッコいいし、何よりお話が最高!!めっちゃ神作だ!ありがとうございました。 (2021年3月19日 23時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - 亀吉さん» 亀吉さん>そんな、最高だなんて嬉しすぎてニヤけちゃいます! 文の構成など、ド素人で上手くかけているか不安でしたが、そう言ってもらえると安心します! 長い小説になりましたが、最後の最後まで本当にありがとうございました!! (2014年3月29日 19時) (レス) id: 37539a4d10 (このIDを非表示/違反報告)
亀吉 - いいお話でした!!最高です!!文の構成とか惚れ惚れしちゃいました。これからも色んな作品を書いて下さい!! (2014年3月29日 19時) (レス) id: e342c6528a (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - セレ―ナさん» セレーナさん>ありがとうございます!! 作者自身も二人のやりとりは書いていて楽しかったです^ ^楽しんでもらえて光栄です! 未熟なものでご迷惑をおかけした事もありましたが、最後の最後まで本当にありがとうございました! (2013年6月27日 19時) (レス) id: 37539a4d10 (このIDを非表示/違反報告)
セレ―ナ(プロフ) - 一章からよませていただきました!主人公とトシのしりとりのやり合いがすっごく面白かったです!!お疲れさまでした!! (2013年6月24日 0時) (レス) id: c5f487b712 (このIDを非表示/違反報告)
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