最後の一言 ページ11
不安定な白い光に包まれる私は廊下を走り抜けてトシの部屋に入った。
乱暴に襖を開け放つと、不機嫌極まりない表情のトシが飛び込み、まだ酔いが醒めない事が見て取れる。
この酔っ払いめ!!
トシ「廊下はぁ〜、走んじゃねぇ!!」
貴女「うっさい、馬鹿!!」
言うが早いか、私はトシに抱きついた。
言いたい事は山ほどある。
もう数秒しか時間のない私にはそれを伝える術は皆無。
わかっていたが、伝えようとした。
貴女「前も言ったけど、トシが好きなの!!
私は幕末(ここ)にいたい!
トシと離れたくない!」
私を包む白い光が一際強く瞬いた。
足元から徐々に消えていき、そこでトシも状況を理解する。
貴女「もう会えないのかな?」
涙声に私は訴えた。
トシはまだ赤い顔をしているが、意識はハッキリしているらしい。
私の手を掴んで、強く引き寄せると優しい手つきで私の頭を撫でた。
トシ「行くなっ・・!」
それはトシの本心。
なんの偽りのない純粋な言葉だった。
もう腹部の辺りまで消えかかっている私は身体の感覚がなくなって来ていた。
時空を飛ぶ時に感じる無重力の様な感覚に自由が利かないのだ。
懇親の力を振り絞り、私は両手でトシの顔を引き寄せた。
トシはなんの抵抗もせず、吸い込まれるように口付けを交わすと再度問うた。
貴女「もう一度会える?」
胸までせまる光にトシは寄り強く抱きしめてきた。
私は嘘でもいいから、頷いてほしかったのかも知れない。
気休めでも、それでもトシの言葉で聞きたかった。
トシ「当たり前だ・・・」
リンッ・・!!
その瞬間、あの水の滴るような音が辺りに響く。
時空を飛ぶ時に必ず聞こえる音だ。
トシの最後の一言に涙を流しながら、私はなんの余韻も残さず消えてしまった・・
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黒豆粉 - うおおお!終わり方カッコいいし、何よりお話が最高!!めっちゃ神作だ!ありがとうございました。 (2021年3月19日 23時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - 亀吉さん» 亀吉さん>そんな、最高だなんて嬉しすぎてニヤけちゃいます! 文の構成など、ド素人で上手くかけているか不安でしたが、そう言ってもらえると安心します! 長い小説になりましたが、最後の最後まで本当にありがとうございました!! (2014年3月29日 19時) (レス) id: 37539a4d10 (このIDを非表示/違反報告)
亀吉 - いいお話でした!!最高です!!文の構成とか惚れ惚れしちゃいました。これからも色んな作品を書いて下さい!! (2014年3月29日 19時) (レス) id: e342c6528a (このIDを非表示/違反報告)
岬鬼(プロフ) - セレ―ナさん» セレーナさん>ありがとうございます!! 作者自身も二人のやりとりは書いていて楽しかったです^ ^楽しんでもらえて光栄です! 未熟なものでご迷惑をおかけした事もありましたが、最後の最後まで本当にありがとうございました! (2013年6月27日 19時) (レス) id: 37539a4d10 (このIDを非表示/違反報告)
セレ―ナ(プロフ) - 一章からよませていただきました!主人公とトシのしりとりのやり合いがすっごく面白かったです!!お疲れさまでした!! (2013年6月24日 0時) (レス) id: c5f487b712 (このIDを非表示/違反報告)
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