どうか我輩を冗談扱いしないで【朔間零】 (ページ8)

今日:4 hit、昨日:5 hit、合計:35,778 hit

〇ページ8

(零side)

零「おや、日々樹君に花を貰ったのかえ？」

『うん。どこからともなくポンって出してくれたの』

と楽しそうにカラカラと笑う。

零「これはこれは。日々樹君。良かったのう。A
のお気に召したようじゃ」

渉「!!、、それは喜ばしいことですね！！
いつでも貴女が望めばいくらでもお出ししますよ☆」

『ふふ。ありがとう。でももう満足。おなかいっぱい』

"ほんとに真っ赤。"と当たり前な事を呟きながら
一輪の薔薇を愛でる。

渉「ええ。真っ赤な薔薇を次に貰う時は零から
貰えるといいですね。」

パチリと我輩に向けてウインクをする。

英智「ねぇ、ひとつ聞きたいけど君達っていつ
くっつくんだい？」

零・A「『ゲボっごホッ！！！』」

渉「フフフ。英智。せっかちで野暮な男は嫌われますよ」

珍しくちょっと焦ったような顔をして日々樹くんは
天祥院君を連れて撤収してしまった。

「『、、、、、、。』」

しばらく我輩たちの間には沈黙が続いた。

零「A？」

あまりにも隣にいるAが静かで手を取って
声をかける。

『れ、、、いくん。お願いだから今こっち見ちゃダメ、』

我輩の目線から抗うように必死にそっぽを向く。
月明かりに照らされたAの頬はほんのり赤かった。

零「、、、は？」

なんて顔してんだ。、、、可愛いな。

初めて見るAの表情に驚いて己でも驚くほど
低くて素っ頓狂な声が出てしまった。

これは我輩、かな〜り期待していいやつかのぅ？

長年じっくり時間をかけてアピールした甲斐というものが
項を成すのじゃろうか。

凛月"あんまAの性格を考えるとガツガツがめつく
攻めるのは最適じゃないかもよ兄者。"

薫"Aちゃんは自分に自信が無いんだから
零くんは焦っちゃダメだよ"

大きな期待を抱くと同時に脳裏に我輩に警告する
凛月やユニットメンバー達の顔が浮かぶ。

零「わかった。我輩はAが嫌ということはしない。
お主の顔は見んから。せめて手は繋いでもいいかえ？」

『、、、うん。』

小さくコクリと頷き返事をした。

零「なんじゃ。今更我輩の事を意識したのかえ？
可愛いのぅ。ほら、帰るぞ」

彼女の手を引いて眩しい月明かりに照らされながら
家へと向かう。

天祥院くんのヤツめ。あれは完全に面白がっておるな。

根暗野郎のくせにやってくれるわい。

でも今は面白がる天祥院君に感謝するべきじゃな。