第46話 ページ8
彼の耳には確かに聞こえた。
「A先輩っ…!」
そして見た。
知っている名前。
知っている生徒。
そして…。
私はアヤトの前を横切った。
軽く視線が合った。ダメ。目を合わせてはいけない。関わりを持ってはならない。
バレてしまうかもしれないから。
アヤトは静かにこちらを見ている。私は、流していた視線を前方に戻し、そのまま彼の前をよぎった。
絢「まさか、な」
そして、知っているその横顔。
絢「まさか…な」
クシャっと髪を乱した。瞳が揺れる。心臓が鳴っている。
「おーい絢都、何やってんだ置いてくぞ」
絢「あ、わ、わり!」
次の彼のクラスは体育。体操服に着替えた友人が、立ち止まったアヤトに声をかける。
我が戻ったアヤトは、体育館専用靴を揺らして、友人の元まで走った。
「つか何?あの人に見とれてたの?」
絢「なっ!?んなわけねぇだろ!」
確かに美人だったけど…と、内心付け加えて。
「でも。あの人には近づかない方がいいぜ?」
絢「なんでだよ」
「なんでも義父が暴力男で性的ボーコーとか加えられて、体売ってるとか。その男、ギャンブルやりまくって逮捕されてムショ逝き」
絢「えっ」
振り返る。
そこには、私の去りゆく後ろ姿しかない。
「おまけに借金残されて返済に追われて、今でも売ってるらしいぜ?体。あ〜でも、返済し終わっただとか、代わりの人がやったとか、色々噂あんだわ」
絢「そんな人には見えないけど…」
「人は見かけによらねぇって!つーか、知りたくねぇ?返済を代わりにしてくれた人」
絢「し、知ってんのか!?」
「あの、UNDEAD元メンバーで、現在、有名人な羽風薫らしいぜ〜♪」
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顥(プロフ) - 千代さん» ありがとうございます。まだまだ未熟者なので、流石に人気は出ないですね…。もっと精進しなければ。これからも素晴らしい作品だと言ってもらえるように、努力しながら、更新頑張っていきます! (2018年3月12日 22時) (レス) id: 09070ac26a (このIDを非表示/違反報告)
千代(プロフ) - そう言いたいほど大変素晴らしい作品です。私自身、放送部の部長をしていて楽しめましたし、なにより内容が素晴らしい。羽風好きになりそうですなんかもう…有難うございます(←)これからも読ませて頂きます。更新頑張ってください! (2018年3月12日 0時) (レス) id: b14c7e5392 (このIDを非表示/違反報告)
千代(プロフ) - 初めまして。昨日この作品を見つけて読ませて頂きました。文が拙いし、長くなりますが感想を言いたいです。”なぜ人気でないんだ”。 (2018年3月12日 0時) (レス) id: b14c7e5392 (このIDを非表示/違反報告)
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