第95話 ページ18
貴｢まぁ。その記事のせいで、体売ってるって思ってる奴らがいんのよね｣
だから一部では、強引に迫ってくる奴もいる。赤井は小さい頃空手習ってたらしいから、護身術的なのは身につけてるし、持ち前のおふざけキャラに攻め寄ってくる奴らは少ないらしい。
その点、青井は優しいし、か弱い。思い上がって迫ってくる奴らに反抗する力もない。危険は、青井の方が高いし、噂も消えない。
貴｢…守りきれてないよなぁ。ごめんね、青井｣
青井｢大丈夫です…｣
か細い声が聞こえた。鳴上が青井の手を握って、微笑んだ。青井もそれに答え、笑い返す。
青井｢私、酷いこと言いました｣
貴｢何のこと？｣
青井｢アイドルなんて、ならなきゃ良かったって…でも、それは嘘です｣
瞳が潤む。
青が濁る。
青井｢私は、好きです。A先輩に憧れてるのも事実です。私の笑顔の源はA先輩です。光です、守ってくれて嬉しかったです。ひ弱な私が悪いんです｣
洪水のように溢れる青が、雨のように流れていく。
青井｢強くなって、私たちみんなでLEONを支えていきたいです。A先輩の思いを継いでいきたいんです。私もA先輩みたいに、みんなを笑顔にできるようなアイドルに、なりたいです…っ｣
切実な願いに、心打たれる。
貴｢あたしみたくなる必要は無いよ。あんたは、あんたのままでいい。あんたの自由に歩めばいい。いつも言ってるでしょ？｣
青井｢はいっ…｣
貴｢望む道まで連れてってやるのもあたしの役目なの。だから、思ったままに進みなさい｣
今の時間を楽しむ。
それがどれだけ辛いことかは、きっと見てる観客には分からない。だから、互いに支え合うんだ。
楽しめるように、と。
貴｢ライブまでに体力回復しなよね。それと、守沢にはお礼を言うこと｣
青井｢はーい｣
いつもの天使のような笑顔を見て、あたしたちは安堵に包まれた。
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作者名：�� | 作成日時：2017年7月25日 10時
