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「ほら、ちゃんと歩ける？」
『大丈夫。瀬名くん、バイクは？』
「今日は歩き。」
『！…そっか。』
靴を履くためだけなのに、あたしの鞄を持ち上げ、履けたらさり気なく手を差し出してくる。素なのか気を遣ってくれているのか、どちらでもいいけれど、やはりそんなに優しくされる資格はないので、大丈夫、と遠回しに断った。
けれど、瀬名くんはその手を引っこめることも無く、少々雑にあたしの手を取り前を歩く。
どうして、と思考を巡らせても答えなんて出る訳もなくて、本人に聞くのも何だか怖かったから、「セナはプライドが高い！」という言葉を解答欄に貼っつけた。
「もう夏だねぇ。」
空を見れば、まだ夕焼けが残る夜空で何とも幻想的だった。海岸に行けば、丁度日が落ちるところが見えるのかもしれない。
「海に行きたい、って顔してる。」
『バレた？』
さすが、3年間共に過ごしている仲だ。こーゆー単純な考えはどうも伝わってしまうらしい。
未だ気まずさが残る空気の中、瀬名くんに手を引かれて歩けば学院近くの砂浜まで歩いているのが移り変わる景色で分かった。
「間に合ってよかった。」
『うん、すごく綺麗。』
そんなに遠くない距離だったけど、少し足早に歩き、海沿いの歩道から日の入りを見届ける。
これが終われば、辺りも暗くなってしまうのかな。今は、こんなに明るいのに。
徐々に、海岸線に顔を隠す太陽を見ながら、夕焼けの色が月永くんの髪色と同じな事に意識を持っていかれちゃって、ツンと鼻が痛くなった。
『水に触れたい。』
「はいはい、仰せのままに、女王さま。」
じんわりと熱くなった目元に気づかれたくなくて、咄嗟に握られた手を引っ張り、砂浜までかけ下りる。
本当ならこんなの有り得ないと、突っ撥ねるはずの瀬名くんは優しい声で答えてくれた。
砂浜までたどり着いて、ローファーと靴下を脱ぎ捨て、打ち寄せる波に足をつけていく。
「俺は遠慮する」、と流石に瀬名くんはここまで着いてきてくれなかったけど。
シーズンよりも少しだけ早い海水は、気持ちいいと言うよりはまだ冷たくて痛い、と言った感じだったけど、こんなのもたまには悪くない。
パシャパシャと足で海水を蹴ったり、手で掬ってみたり。
色んなことをしていれば、水に触れた部分は体温を奪われて、流石に撤退しようと、瀬名くんの元へ歩き出す。
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なこ(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます~！そう言ってもらえて嬉しいですっ！これからも是非読んでやって下さい…！ (2023年3月6日 21時) (
レス) id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - ほんとにこの作品に出会えて良かったです！！設定からお話全てが最高です！！！陰ながら応援してます！！ (2023年3月4日 23時) (レス) @page34 id: 6a12c2dc89 (このIDを非表示/違反報告)
なこ(プロフ) - お醤油さん» わー！コメントありがとうございます！個人的にはもう終わりまで決まってるので、スピード完結しそうですがこれからも、是非読んでいただけると…！頑張りますっ！ (2023年3月3日 23時) (レス) @page5 id: b90089acae (このIDを非表示/違反報告)
お醤油 - もう本当に面白いです！一気にスラスラ読んじゃいました！もう設定から好きすぎる…これからも作者様のペースで更新頑張ってください！応援してます！ (2023年3月3日 21時) (レス) id: b53313ac14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なこ | 作成日時：2023年2月27日 19時
