宝物 �� ページ17
カカシは分かっていた。サクは簡単な術なら、1度見れば出来てしまうということを。もちろん、まだチャクラは安定していないから経験や訓練が必要なのだが、それでも親の贔屓目なしにしても忍びの才能があると思う。それは素直に誇らしいが、正直複雑でもある。
｢こういう気持ちだったのかねぇ。｣
昔、自分の父親もこんな風に複雑な笑みを浮かべていた事を思い出した。きっとサクも、当時の自分と同じ様に、ただひたすら成長することに夢中なのだろう。それはきっと、ナルトも同じ。まぁナルトは息子というより、年の離れた手のかかる弟って感じだけど。
｢カカシ先生ー！来てくれってば！｣
｢はいはい。｣
ナルトに呼ばれて立ち上がると、両腕に感じる重み。
｢...サク。何してるの。｣
見なくても分かる。カカシの右腕には本物のサク、左腕には影分身のサクがぶら下がっている。
｢サクだって修行してるもん。｣
｢今日はナルトの修行を見に来たの。父さんはナルトの先生なんだから、サクの相手はしてあげられないって言ったヨネ？｣
｢...。｣
俯くサクに溜息をつく。こういう所は年相応というか、カカシとしても可愛くてしょうがないのだが、けじめはつけないといけない。カカシは心を鬼にして、今も尚腕に絡み付くサクの手を解く。
｢ホラ、影分身の練習するんデショ？｣
｢...。｣
｢聞いてるの、サク。｣
｢今日はもう、サク修行しない！｣
｢...へ？｣
そう言うと、振り返りもせず走り去っていく我が子の姿を呆然と見つめるカカシ。
｢ん？カカシ先生、サクの奴どーしたんだ？｣
｢...子育ては難しいんダヨ、ナルト。｣
｢は？それより、追い掛けなくて大丈夫か？｣
｢いいんダヨ。いつまでも甘やかしてちゃいけないんだ。｣
カカシは自らに言い聞かせるようにそう呟いた。
ー｢...ただいま。｣
｢サク？父さんは？一緒にナルトくんの修行見に行ったんじゃないの？｣
1人家に帰ってきたサクを出迎えたAは、質問に眉を寄せ、必死に涙を堪えようとする息子を見てなんとなく状況を察した。
｢...おかえりなさい。さっき、サクの好きなオヤツ買ってきたのよ。一緒に食べましょう。｣
2人でおやつを食べていると、サクがポツリと呟いた。
｢...父さんは、サクよりナルト兄ちゃんの方が大事なんだ。｣
その可愛らしいヤキモチに、Aは思わず微笑み、そして安心した。なんだかんだ、サクはまだ子供なのだ。大好きな父親に構ってもらえなくて拗ねてしまうくらい。
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紫(プロフ) - ねこじろうさん» コメントありがとうございます！自己満足でしかありませんが、ひたすら幸せなお話を書きたいと思います。楽しんで頂ければ嬉しいです。 (2017年6月27日 21時) (
レス) id: 99c982b07d (このIDを非表示/違反報告)
ねこじろう(プロフ) - とっても素敵なお話をありがとうございます。 (2017年6月27日 19時) (レス) id: 190dac0399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫 | 作成日時：2017年5月25日 0時
