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ep.8 ページ10

闇の鏡は静かにそう言った。その言葉に学園長は酷く驚いたような声を漏らした。


ク「え?」


闇「この者のあるべき場所は、この世界のどこにも無い……無である」



そう言われ、私は酷く目を見開いてしまった。

元来、人は産まれた瞬間にその地と深い縁を結び自分の在るべき場所を確立する。
そうしなければ、自身という存在を誰にも"証明"出来ないからだ。


人と人の縁、地の縁などを人は誰しも持っている。
"縁"は言わば繋がり。親しき人との繋がり、愛おしい人との繋がり。


その繋がりはとても大事なのだ。現に、繋がりがあれば元いた場所へとその人間は導かれる。
……なのに、この子は戻れない。だとすれば自ずと結論は出る。



貴「(何者かによって縁を断ち切られたか、或いは何かの妨害により帰れないか……。この二択だ)」



そう思いながら、私は酷く慌てている学園長の傍により口を開いた。



貴「学園長、私も一度やってみても?」


ク「そ、そうですね。もしかしたら、貴女は可能かもしれません!お願いします」


貴「はい、分かりました」



私はそう言い、ユウと同じように闇の鏡の前へと立つ。後ろでは学園長が同じように鏡に語り掛けた。



ク「闇の鏡よ!この者をあるべき場所へ導きたまえ!!」


貴「…………」


闇「…………」



沈黙。シン、と辺りが静かに静まり返るなか目の前の闇の鏡は眉を顰めてしまった。



闇「……どこにもない。無である」


ク「ま、またですか!?そんなこと有り得ない!
あぁ、もう今日は有り得ないのオンパレードです」


闇「…………」


ク「私が学園長になってから、こんなことは初めてでどうして良いか……」



そう言い、学園長はうんうんと唸った後に横にいたユウへと静かに視線を向けた。



ク「そもそも貴方達はどこの国から来たんです?」


ユ「日本、ですけど……」


貴「私も日本です」



私がそう答えると、酷く安心したようにキラキラとした瞳を向けてくるユウ。
だが、私たちの言った国を聞くと学園長は少し黙り込んでしまった。


ク「……聞いたことのない地名ですね。
私は世界中からやってきた生徒の出身地は全て把握していますが、そんな地名は聞いたことがない。一度図書館で調べてみましょう」

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ももたろー - とても面白かったです!!!続き楽しみにしてますね!!( ̄▽ ̄)ゞ (2020年10月5日 18時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
滅夜(プロフ) - このお話最高です!更新頑張ってください! (2020年8月2日 11時) (レス) id: f73ab42924 (このIDを非表示/違反報告)
- 続き待ってます。 (2020年7月30日 1時) (レス) id: fe5d34cf39 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 面白すぎます!応援してます!更新頑張ってください!応援してます! (2020年7月25日 18時) (レス) id: 0a80c4d22b (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - とうらぶとのクロスオーバー&夢主の設定。。自分の好みぴったしですごく面白いです。更新頑張って下さい(°η°) (2020年7月9日 23時) (レス) id: 67c87e380d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千本桜 | 作成日時:2020年4月30日 18時

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