最終片 ページ40
「おはよう」
「おはようございます」
いつもの様に自分用の大きめの杖に座って
王宮内を飛んで移動する。
専ら元気な時はこうして移動することにしたのだ。疲れた時や出かけるときは車椅子を誰かに押してもらうことにしているけど、不便はない。
「ねえ、シン。それあとどれ位なの？」
「あと少しだ」
彼への恩を返すため、もあるけれど
何よりも愛する人のそばに居たくて日中はほとんど彼の部屋でゴロゴロしている。
「終わったら出掛けたいわ」
「どこに？」
「海、とか？」
「解った」
「冗談よ、すぐ会議があるでしょう？」
「あるが…まあ俺も気分転換をしたいのさ」
視線をこちらに移すと
いたずらっ子のように笑う彼
「いかせませんよ。お二人共」
いつの間にやら少し開いた扉の隙間から
顔を覗かせていたジャーファル
「だ、そうだ」
「シンはともかくどうして私も？」
「王が心配して会議に集中出来なくなるからです。
と、いうかあなた今度から会議に参加するって話になりませんでしたか？」
ああ、そういえば、そんなこと
みんなと話したような…
「忘れていたわ」
「はぁ…ほら、Aさんだけでも先に行きますよ」
「私は彼一緒に行くから…」
「そう言って、二人揃ってどこかへ行くのが貴方達のパターンですよね。今日こそは騙されませんよ」
不服そうな顔をするもジャーファルに白い目で見られては何も言えない
「先に行って待ってるわ」
仕方なく居住いを正すと
杖に飛び乗って一足先に会議室へ向かった
.
.
.
「疲れた」
ボフッとキングサイズのフカフカのベッドに横たわると続いてギシッとスプリングの軋む音がすぐ横から聞こえた
「俺の仕事に付き合わせてしまったな」
「ううん。好きでしていることだもの」
枕に顔を埋めると
大きな手に頭を優しく撫でられる
飼い主に撫でられる猫の如く
されるがままになっていると
いつの間にかシンの顔が目の前にあった
「疲れていないの？」
「疲れたが、今癒されてるところさ」
「ふふっ」
あまりに愛しくて
彼の後頭部に手を添えて
その唇に唇を重ねると
そのまま彼の身体がのしかかってきて
深いキスへと変わっていく
絡み合った視線の先
柔らかい光を宿した瞳が
私に語りかけて来る
もう、言葉はいらないわね。
『貴方のことを愛してる』
-fin-
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紅妃(プロフ) - 完結おめでとうございます。いつも楽しみの一つにさせてもらっていました。これからの活動も応援しています。 (2018年3月14日 9時) (
レス) id: d4608e4b4b (このIDを非表示/違反報告)
はな - めっちゃおもしろいです！続き早く読みたい。。！！夜猫さん、この小説のことわすれないで〜〜〜ヾ(･ω･`;)ﾉ (2017年1月10日 19時) (レス) id: 6a8fed615c (このIDを非表示/違反報告)
月影みこと(プロフ) - すごくおもしろいです。続きがとても気になります。応援してます！ (2016年11月21日 23時) (レス) id: 9705d14001 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜猫
| 作者ホームページ：https://twitter.com/tutimikado12113
作成日時：2016年10月11日 21時
