可愛さ余って憎さ百倍【犬夜叉】 (ページ10)

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八話ページ10

あたしは、桔梗の骨がおさめられてる祠に来ていた。
楓の家のすぐそばにあるから、何かあっても駆け付けられる。

一日に一度、ここに来ると。
心の中にある何かが、さぁっ、と洗われるような感じになるのだ。
あの日、楓から話を聞いた時。
あたしの心は、虚ろになった。
大事なものとかを一気に奪い去られたみたいに、ぽっかりと穴が空いてしまった。

でも、ここに来るとそんな事を忘れられるくらいに昔のことを思い出すんだ。

あたしは、10年前ここに来る前に、仲間がいた。
あいつらと一緒に居るのが、この永い時の中では何よりも楽しく、鮮やかな思い出だ。
けれど、あいつらはもう、居ない。
あたしだけが生き残って、あいつらは死んだ。

「…あの世でも、元気にしてっかな」

「まあ、どうせ彼岸でも暴れ回っているんだろうけど」

呟いた言葉は風にかき消されてしまった。

その夜、ざわりと風が揺らぎ、朔夜は目を開けた。
楓の家を見る、鴉の姿があった。
その鴉は、犬夜叉が投げた石で驚き、逃げて行った。

「屍舞烏か、厄介なやつが出てきやがった…」

「…あいつも、四魂の玉を狙ってる、ってワケね」

朔夜と犬夜叉は、飛び去っていく屍舞烏を見えなくなるまで睨んでいた。