15 掴めない人だから ページ16
昼休みのチャイムが鳴って、凛月くんに連れられ2Bの教室に逃げ込めば、私の顔を見るなり形相を変えた大神くんにがっちりと肩を掴まれた。
「テメ〜目ェ真っ赤だぞ！？誰にやられた！俺様がブッ倒しにッ……てェッ！？」
今にも殴り込みに行きそうな大神くんの頭を鳴上くんが軽く叩き、「女の子相手にそんな質問しちゃダメよォ」と可愛らしく怒る。
「…でも本当に何が原因なの？」
心底心配した様子の鳴上くんに少し悩んで「強いて言えば凛月くん…？」と答えれば、大神くんと鳴上くん、そしてなぜか自席に座っていた伏見くんまでもが一斉に凛月くんに殴りかかった。
「あっぶな…」
仲いいなぁなんて考えていたら、みかくんがひょいと横から顔を出す。彼が「いつの間に凛月くんも名前呼びになったん？」なんて言えば、そういえばと三人も顔を合わせて。
「え〜…そこ触れる〜…？」
また一斉に凛月くんに攻撃が始まるから、なんとかみかくんの隣に逃げ出す。
…やっぱりみかくんの隣が一番落ち着くなぁ。
不意に出た本音に、みかくんは顔を真っ赤にして石のように固まった。そんなに照れなくても。
ついふふと声が漏れたその瞬間、突如音を立てて教室の扉が開く。
見慣れた赤い髪と猫みたいな目。
ひゅん、と風が頬を掠める。
「…ちょっとコーギー、手が出るの早すぎ」
扉を開けた夏目くんの頬すれすれに、大神くんの拳が触れている。一瞬だった。凛月くんが止めなければ、間違いなく夏目くんは殴り飛ばされていただろう。
「…歓迎されていないみたいだネ」
何故だかこの場で一番動揺していない夏目くんが私を手招いて、素直に彼の前に出れば見慣れた四角い包を差し出される。
「たまたま教室に行ったらイタズラされる寸前だったかラ…荷物全部持ち出してきたヨ」
お弁当に続いてスクールバッグが渡された。ありがとうと受け取るが、頭の中にはぐるぐるとその一言が占領して。
…そっか、無視されるだけじゃなくなっちゃったんだ。
何をされていたかなんてとても聞けなくて、ありがとうと伝えてまたみかくんの隣に戻ろうとした。
「…無理して笑わなくなったんダ」
彼の小さな声は、きっと私にしか聞こえていない。
つい足が止まった私に、こちらを心配そうな顔で見つめるみかくんは首を傾げていた。
「…イヤ、そっちの方がいいヨ」
夏目くんはそう言って教室を出ていく。彼が特に何もしてこなかったからか、B組のみんなは怪訝そうな顔をしていたけれど。
( そっちの方が、いい… )
私も一人、もやもやに悩まされる。
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かなかなかな… - ありきたりな言い方になってしまいますが、ものすごく感動しました。所々泣きそうになってしまったり、最後はものすごくニヤニヤしたり。読んでいてとても楽しかったです。素敵な作品をありがとうございました！！ (2022年3月29日 19時) (
レス) id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
みる - 最後のタイトル回収がほんとうにすごかったです！めちゃくちゃ楽しませていただきました！！ (2021年9月21日 17時) (レス) @page50 id: 8126ce0406 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - ふわり｡さん» コメント・ここまでお付き合い下さり有難う御座います。こちらこそ、これからもお付き合い頂ければ嬉しく思います笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 哀霞さん» コメント有難う御座います。そう言って頂けて幸いです…励みになります。次回作の方も宜しくお願い致します笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
ふわり｡ - 完結おめでとうございます！雰囲気も素敵でエピローグまで一気に読んじゃいました（笑）これからもファイトです！ (2019年8月21日 17時) (レス) id: 9c497f6a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：繕 | 作成日時：2019年7月31日 11時
