13 笑うから ページ14
「…なんでみかくんだけ名前で呼ぶのか？」
「そ。前々から気になってたの。俺たちには苗字呼びなのに、なんでみかりんだけ名前なんだろうな〜って」
凛月くんからの突然の質問にう〜ん…と一年の頃を思い返す。
彼はうたた寝をしながら私の返答を待っている。興味があるなら起きてくれても良いのにと思いつつ、彼の中ではこの話よりも睡眠のほうが大事なんだろうなぁと一人納得して。
…初めて会った時、当時一年生のみかくんは周りから少し孤立していた。
そんな彼に無意識に声を掛けたことが私たちの出会いだ。
「Aって人見知りコミュ症の癖して人のこと放っておけないよね」
「…凛月くんは初対面でも、仲良くなってからも棘があるね」
彼は悪びれる様子もなく笑った。
「まぁ、その後意気投合してね、気付いたら仲良しになってたの」
「ふうん、みかりんが心開いてくれたんだ？」
「…どうかなぁ、それ以上に私がみかくんに懐いちゃったのかも。」
「…ふうん」
自分から聞いてきた割に、彼はそれ以上深入りしては来なかった。やっぱりつまらなかったかなぁ。
「…でも、別にみかくんだけって訳じゃないよ。だって夏目くんとかスバルく…」
その名につい口が止まってしまう。
…何故だろう。自然と名前が出てきてしまうのは。
嫌いになろうとしても、忘れようとしても、どうしても彼の存在を消し去ることができなくて、私の中でそれ程までにその存在が大きいということが嫌でもわかってしまう。
…あぁ、しんどいなぁ。
そうやってまた痛む胸に気付かないふりをする。
一方の凛月くんは先程までの柔らかな雰囲気はどこへ行ったのか、一瞬で重い空気が流れ、こちらをじっと見上げていた。
その赤い瞳から目を逸らしたのは初めてかも知れない。
彼は少し驚いたのか、肩が少しだけ揺れた。
「ねぇ、何かあったの」
あまりにも真剣そうな彼の様子にこちらが驚いてしまう。
ねぇ、どうしてそんなに苦しそうにするの。私のことなのに。
「…大丈夫だから、そんな顔しないでよ」
大丈夫だよ、何もないの。心配しなくても平気だよ。
少しでも場を和ませようと思って笑ってみせる。
「…は…？」
大丈夫。大丈夫だから。
( だからお願い。もう、それ以上踏み込んでこないで。)
( 私はちゃんと笑っているから。もう、私のことを追い込まないで。)
ちゃんと、笑うから。
「…もうやめてよ」
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かなかなかな… - ありきたりな言い方になってしまいますが、ものすごく感動しました。所々泣きそうになってしまったり、最後はものすごくニヤニヤしたり。読んでいてとても楽しかったです。素敵な作品をありがとうございました！！ (2022年3月29日 19時) (
レス) id: 62f4ed090e (このIDを非表示/違反報告)
みる - 最後のタイトル回収がほんとうにすごかったです！めちゃくちゃ楽しませていただきました！！ (2021年9月21日 17時) (レス) @page50 id: 8126ce0406 (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - ふわり｡さん» コメント・ここまでお付き合い下さり有難う御座います。こちらこそ、これからもお付き合い頂ければ嬉しく思います笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
繕*(プロフ) - 哀霞さん» コメント有難う御座います。そう言って頂けて幸いです…励みになります。次回作の方も宜しくお願い致します笑 (2019年8月23日 14時) (レス) id: 019269e21e (このIDを非表示/違反報告)
ふわり｡ - 完結おめでとうございます！雰囲気も素敵でエピローグまで一気に読んじゃいました（笑）これからもファイトです！ (2019年8月21日 17時) (レス) id: 9c497f6a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：繕 | 作成日時：2019年7月31日 11時
