氷の花びら ページ13
「ねぇ、A。あなたって“継承者”だったのよね」
クレアと会って一週間と数日。
私たちは友達のように仲良くなれた。
「え、まぁ、そうだよ。私は冬の街の継承者、ユキノコだったよ。」
ここに来てから半月が経とうとしている。
私は故郷の事を思い出していた。
「気候は寒冷で雪なんてたぁっくさん積もるんだけどね。その冷たさに比例するくらい街の人は温かいんだ。」
「A。今すぐここを逃げよう。」
私が故郷について語っていると、クレアが唐突に言った。
「え？何言って..........」
そこから先は言葉が続かなかった。
クレアの表情は真剣そのものだったから。
「A。怖がらずに聞いて。あなたは継承者なの。継承者は、ただ単に伝統を守るだけじゃない。役目を終えたら城に住んで幸せに死ぬ訳じゃない。本当は──。」
「ネージュ様。お食事のお時間です。」
クレアが話している途中に扉の向こうからそう声がかかった。
「いけない！早く行って！逃げて！！」
クレアは私の腕を引っ張って、傍にあった箒を握らせた。
「クレア.......？」
「A、いい？継承者は責務を終えたあとは神獣の贄になるの。そうなる前に逃げて。あなたは、あなただけは生きて。お願い。」
クレアの言葉を聞いて衝撃が走った。
理解が出来ない。神獣の贄？私“だけ”？
どういうこと、そう聞こうとしたが、聞く前に私はクレアの手によって窓から箒で飛び出した。
箒は止まらず突き進んでゆく。
「クレア！！」
「A！生きてね！！」
窓から顔を覗かせたクレアは笑っていた。
彼女は儚かった。雪のように、触れたら溶けてしまいそうな。
触れれば真白が汚れた色に染められてしまいそうな。
大切な、たいせつな存在だった。
「クレアッッ！！！」
箒は私の思いに反して、城からどんどん離れていくのであった。
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∞輪廻∞(プロフ) - アイスさん» ネージュはフランス語で雪という意味があるので、そう命名しました！そういう質問待ってたありがとうありがとう！！ (2021年6月29日 16時) (
レス) id: a7a0dcccc8 (このIDを非表示/違反報告)
アイス - こんにちは。とても面白くてすぐに読み切ってしまいました。ところで、夢主ちゃんの名氏が「ネージュ」ですが、なにかネージュ君と関係があるのでしょうか？ (2021年6月28日 21時) (レス) id: 50003851a2 (このIDを非表示/違反報告)
∞輪廻∞(プロフ) - 夢色ふぅなさん» そういう反応を待ってたよぉぉ！！！()ありがとう！！無事完結出来て良かったです！ありがとうございました！ (2020年11月28日 22時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
夢色ふぅな(プロフ) - 最後号泣しちゃいました…()とっても面白かったです…！！ (2020年11月28日 22時) (レス) id: 4a2b5a8613 (このIDを非表示/違反報告)
メロンパンの皮(プロフ) - 灰鴉さん» あっ..........しくった........教えてくれてありがとうございます！すみません直しておきます！指摘感謝です！ (2020年11月18日 21時) (レス) id: 5125d15ab3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∞輪廻∞ | 作成日時：2020年10月24日 23時
