100_ユダの接吻 ページ8
ジンside
「くく…、藤峰Aの存在はまさにユダの接吻だな。」
ユダの接吻
新約聖書において、最後の晩餐の翌日にユダがイエス・キリストを売る為に頬にキスをしたことを意味する。
「俺と無関係な“黒澤”偽名に足をすくわれ、ただの小娘に蹴落とされることとなるとはなァ。そう思わねぇか？スコッチ」
組織に拉致された一般人“黒澤A”は、警察官にとっては無視しきれなかっただろう。
少女の存在はまさに、裏切り者を見つける為の象徴、ユダの接吻と言える。
「そんな裏切り者には、相応しい役者と舞台を用意しねぇとな。」
スコッチが公安からのネズミならば、この少女を密かに協力者として匿い保護しようとしていた可能性がある。
まァ、少女が父親と因縁のある公安に頼るとは考えにくいが、確信は無い。
「A。手を出せ」
「…え、」
拳銃を握らせれば、少女は困惑したように俺を見上げる。
そのまま俺の心臓を撃ち抜ける位置に銃口を当てさせれば、更に驚いたように手元と俺との間を交互に見やった。
「選べ。俺か、スコッチか。」
「……は」
「引き金を引けと言っているんだ。」
その場にいた3人も間抜けなツラをして固まる中、ようやく俺の言っていることを理解した少女の手が、小刻みに震えだした。
「利き腕でグリップを握れ。」
「…ゃ…めて…」
「人差し指はトリガーガードの下に押し付けろ。」
「もうやめてください！！私は撃ちたくな──、ッ！！！」
鉄板の入った靴底で、少女の足を思い切り踏みつけた。
足裏から聞こえたバキリと鈍い音に、少女は声にならない悲鳴を上げうずくまる。
〈ヴァン！！！〉
瞬間、獣の猛然な唸り声が聞こえた。
少女から視線を上げれば、俺の喉元に喰らいつかんと牙を剥いて威嚇している獣の姿が目に入る。
「くく、まさかこの時代の日本で狼狩りが出来るとはなァ！！」
狼が人間に忠誠心を持つとは、とんだ与太話もあったものだ。
嬉々として銃口を向けた。
「チビ太ッ！やめて！！なにもしないで…！！大丈夫…大丈夫だから…ありがとう」
〈……クゥン、〉
「ッチ、狼は人に飼われたら終わりだな。」
少女の身を案じる姿は、狼と言うより飼い犬にしか見えなかった。
ペットをなだめると、少女は足を庇うように立ち上がり、俺の命令通り持っていた銃を構える。
「それでいい。」
そうして少女は俺に照準を当てたまま、引き金を引いた。
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仮面タロウ(プロフ) - 深月さん» ですよね！！！夜の美術館とか似合いそうだなぁと思って書きました！いつかは夜のシチュエーションも書いてみたいですね(^^) (2022年8月21日 11時) (
レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - ジン……！！！！休日に一人で美術館巡っているとか可愛すぎます！そして、わかりみが深いです、ジン美術館好きそう（笑）続き楽しみにしています。 (2022年8月16日 21時) (レス) @page44 id: 8da4958f2c (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 小宮瑠璃さん» 嬉しい…！ありがとうございます！！ (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - あお。さん» コメントありがとうございます！現在元気に3股してます！笑 これから4になるのか、もっと増えるのかは乞うご期待！！ (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
小宮瑠璃 - 仮面タロウさん» めっさ楽しみですぅっ！！完結まで私はこの作品を推し続けます！！ (2022年7月25日 22時) (レス) id: dbce0c6b80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：仮面タロウ
| 作成日時：2022年6月28日 12時
