124 ページ32
Aside
「……分かりました。でも、無理なものは無理です。」
「もしかして…眠れないんですか？」
「寝てもすぐ目が覚めてしまうんです。」
「どれくらい前から…？」
「……1ヶ月前辺りから」
なんてこった。
それって、スコッチさんが粛正(仮)されてから寝てないってことじゃないか。
人間にとって睡眠は必要不可欠。
2晩以上完全な徹夜を続けると、身体的に大きな問題はなくても精神的にはかなり危険な状態に陥る。
「このままの状態が続けば、死にますよ。」
「これくらい慣れているから大丈、「睡眠不足は非効率です。」
それに、ずっと慢性的な不眠が続いても良いんですか？と私が言えばバーボンさんは黙った。
沈黙は肯定したとみなし、彼に毛布をかけ診察室の明かりを調節するリモコンを手に取る。
瞬間、リモコンを持つ手ごとバーボンさんに握られた。
「暗いのは、嫌なんです。」
「じゃあ私が側に居ます。」
「……なら、暗くしてもいいです。」
え、いいんだ。
自分で言ったのだけれど内心驚いた。
最近勉強中の心理学で、突発的に暗闇を嫌うその主な原因は“不安”らしい。
それを払拭するために冗談半分で言ったのだけれど、まさかこの案が採用されるなんて。
明るすぎると良質な深い睡眠は取れないから暗くしたかったのだけれど、ここまで従順だと逆に怖いな。
「あの、何をしてるんです…？？」
「今日そればっかですね。」
「茶化さないで答えてください！」
「なにって、トントンしてるんですよ。」
近くにあった椅子に座り、ベッドに寝ているバーボンさんを一定のリズムでポンポンと子供をあやすように撫でる。
昔、推理ドラマをみて興奮して寝れなくなった弟を寝かしつける為によくやっていたな…
「まるで子供だ…！」
「良いんですよ、アナタは私の患者。…少しは甘えて下さい。」
「……なら、」
「うん？」
「なら、君の眼鏡…取ってもいい？」
もうバーボンさんは私の素性を知っている。
何も隠すものは無い
私は頷き、彼のやりたいようにさせた。
眼鏡がゆっくりと外され、レンズを触らないようサイドテーブルへと置かれた。
「…君の瞳は、本当に綺麗だね。」
今にも吸い込まれそうだ。
その彼の言葉には、恋人に告げるようなソレではなく、単に思った事をそのまま口しているようだった。
宝石を愛でるように目を細め、私の頬を撫でる。
「私はこの瞳、嫌いです。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1002人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
仮面タロウ(プロフ) - 深月さん» ですよね！！！夜の美術館とか似合いそうだなぁと思って書きました！いつかは夜のシチュエーションも書いてみたいですね(^^) (2022年8月21日 11時) (
レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - ジン……！！！！休日に一人で美術館巡っているとか可愛すぎます！そして、わかりみが深いです、ジン美術館好きそう（笑）続き楽しみにしています。 (2022年8月16日 21時) (レス) @page44 id: 8da4958f2c (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - 小宮瑠璃さん» 嬉しい…！ありがとうございます！！ (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
仮面タロウ(プロフ) - あお。さん» コメントありがとうございます！現在元気に3股してます！笑 これから4になるのか、もっと増えるのかは乞うご期待！！ (2022年7月26日 22時) (レス) id: 2292ab7783 (このIDを非表示/違反報告)
小宮瑠璃 - 仮面タロウさん» めっさ楽しみですぅっ！！完結まで私はこの作品を推し続けます！！ (2022年7月25日 22時) (レス) id: dbce0c6b80 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：仮面タロウ
| 作成日時：2022年6月28日 12時
