プロポーズされました 40 ページ42
景「A」
メイドさん達が食器を片付けて出て行った後跡部さんはソファに座って私の名前を呼んだ。
こっちに来い。
そう言われてる気がした。
心臓の音が大きく聞こえる。
嘘をつかなきゃ…
景「今日一緒に寝るか」
A「…え？」
景「なんで寝ないのかは聞かない。それ相応の理由があるんだろ？」
どうして聞かないの？
A「私に寝てるから心配ないよ？」
景「嘘はつかなくていい。」
A「嘘じゃないよ」
景「慈郎が言ってたんだよ」
慈郎？
芥川さんがなにを言ったの？
景「寝てない顔してたってな」
A「…そんなことで疑ってるの？」
苦笑しながら跡部さんに近づく。
少し安心した。
確実な理由があるんだと思ってたから…
あの事がバレたのかと思った。
景「慈郎は昔不眠症だったからわかるんだよ」
私の足は無意識のうちに止まってしまった。
景「だから寝てないやつのことはわかるんだよ」
A「勘違いじゃないの？」
景「あいつは百発百中だ。勘違いなんかしないんだよ。」
危険信号が頭の中に鳴り響く。
バレる。
この人にバレる。
知られたくない。
幻滅される。
跡部さんは騙されているんだ。
なにも知らないから私のことを好きになってくれてるんだ。
この人といたら確実に私は好きになってしまう。
だけど跡部さんが真実を知れば私のことなんか捨ててしまう。
嫌われてしまう。
怖い…
運が悪い…
窓にコツンコツンと当たる水滴。
あぁ…雨だ。
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作者名：翼 | 作成日時：2016年1月2日 22時
