驚きだらけの世界 宜野座視点 ページ22
─────シンジュク・ディビジョン、観音坂独歩と伊弉冉一二三宅にて。
「おはよう、“伊弉冉”」
「おっはー“ギノっち”!どっぽちんまーだ寝てっから先に飯食っていいよー!今日は皆休みだしゆっくりしようぜー」
目の前にいるのは歌舞伎町でホストをしていると言う伊弉冉一二三。
困惑したまま行く宛てもなく、歌舞伎町で途方に暮れていた俺に声を掛けてきたのが仕事帰りの伊弉冉だった。と言うのも、偶然な事に俺を病院に運んでくれた医師の知人と言うのがこいつだったのだ。
伊弉冉は俺を見るや否や、今とは別人な様子で「何処かで見覚えのある顔かと思ったら君は……先生の病院の近くで倒れていた男性だね?」と話し掛けてきたのだ。
(俺の顔なんてよく覚えてたな……と聞けば、“職業柄、ね”と返されて妙に納得したが)
伊弉冉と会う前、“こちらの世界”を知ろうとしてあちこち見て回り、聞き込み等をしているうちに日付けを跨いで夜中になってしまい、最終的に歌舞伎町のある方へと戻って来てしまった。
けれど、お陰様で最初は確信が持てなかった俺も、此処が自分のいた世界ではないと徐々に確信を得た。
まず、根本的な部分として西暦と年代が違う。
座り込んでるホームレスが街に普通にいる事自体驚きだったが、雑談程度に声を掛けて話を聞けば、こちらの世界では第三次世界大戦が過去に起きていたという。そして、女性総理大臣によって“人を殺傷する全ての武器の製造禁止、及び既存の武器の廃棄”になり、代わりに人の精神に干渉出来る“ヒプノシスマイク”が希望者に配布されるようになった。
(“言葉が力を持った世界”と言っていたな。しかも、男性は女性の十倍税金を払わないと行けなくなったせいで……とか小言を言っていた。まぁ、言わんとしている事は分からなくはないが。聞いた時は俺も目を見開いたな)
聞き込みを終わらせたあと、早めに仕事が終わったと言う伊弉冉がすれ違った俺を見つけ、体調はどうか、こんな真夜中に何をしているのか聞かれた。
彼なりの心配だろう。だが、あまりにも自然に話し掛けて来たから正直困惑した。
世界云々は置いて、伊弉冉を警戒していない訳ではなかったが、取り敢えず自分の置かれた状況だけを渋々話すと、「それならうちにおいでよ」などとサラッと言われ、更に驚き混じりに困惑し、警戒してしまった。
(俺が言うのもなんだが、見知らぬ奴を困ってるからってだけで自分の家に呼べるものなのか……?やむを得ず、お言葉に甘えてしまったが)
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イマツギ(プロフ) - 続きが楽しみです。お時間があれば更新頑張ってください! (2022年3月12日 12時) (レス) @page34 id: f5ff06f155 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - 面白い!更新頑張って下さい! (2020年4月10日 13時) (レス) id: ceacd95bed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遙 | 作成日時:2016年2月6日 20時