シェアハウス 宜野座視点 ページ23
俺達が伊弉冉の家に着く頃、シェアハウスしていると言う幼馴染の観音坂は寝ていたので、服を伊弉冉から借りてひとまず俺達も寝る事となった。
その日の夜、観音坂にきちんと事情を話し、二人の了承を得た事で俺は正式な居候となった。
因みに、今日は居候二日目だ。
(いや、正式な居候って何だ。我ながら情けない話ではあるが、彼等のお陰で助かったのは事実だ。これ以上迷惑をかけるわけには行かないが、どうやったらこの世界から抜け出せるのか……。何処かでアルバイトをしてお金も貯めなければ。しかし、何が出来る……?)
この時、ふとシビュラシステムの存在する世界と親父の生きた世界を思い出し、想像する。
俺が生きた世界はどの職業が自分に合うのか、シビュラシステムによって適性が出される。
だから、俺達はシビュラの出した結果の中からやりたい職業を選べば良かった。
けれど、親父が執行官になる前の世界では自分が何処で働くかは自分で調べたりして決めるしか無かった。
しかも、その職業や会社が自分に向いてるかどうかはもはや運でもある。
(ここは、そんな世界なんだな。伊弉冉や観音坂も自分達で選んだ仕事に就いて働いてるわけか。しっかし……観音坂から聞いた話によれば、伊弉冉はスーツを脱ぐと性格が変わるらしいが、疲れないのか?色々と……)
そんな事を考えていると、突然インターホンが鳴り、伊弉冉がモニターを確認する。
次の瞬間、伊弉冉は顔を真っ青にして怯えた表情で「多分独歩が頼んだ品が届いたんだろうけど……俺のか、代わりに引き取って貰える?」と言って俺を見てくる。何かあったのか?と理由を問いただしたかったが、配達員を待たせる訳にも行かなかったので、言われた通り俺が品を引き取った。
(珍しくはあるが、普通の“女性”の配達員で特に怪しい物も不審そうな様子もない。伊弉冉は何に怯えていたんだ?会話が苦手と言う訳でも無いだろうに)
「持って来たぞ」
俺がリビングに戻ると、さっきまでの子羊のような様子とは打って変わって、伊弉冉は「ふぅー。マジサンクス!助かったわ〜」と通常の軽いノリに戻っていた。何となくその軽さが縢の巫山戯た姿を彷彿させるが、一体何だったのか。
丁度、観音坂も起きたのか部屋から出てきて「あ、おはようございます……」と挨拶してくる。
観音坂に関しては、会った時から顔色が優れないので心配だ。あと、気の所為かもしれないが雛河執行官と妙にダブる。
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イマツギ(プロフ) - 続きが楽しみです。お時間があれば更新頑張ってください! (2022年3月12日 12時) (レス) @page34 id: f5ff06f155 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - 面白い!更新頑張って下さい! (2020年4月10日 13時) (レス) id: ceacd95bed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遙 | 作成日時:2016年2月6日 20時